QWSステージ#06〜磨き、放つ。「問い」から始まるムーブメント〜

QWSステージ

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QWSチャレンジメンバーの晴れ舞台であるQWSステージは、早くも6回目を迎えました。今回は過去最多プロジェクトが登壇したQWSステージ#6の様子と、SHIBUYA QWS Innovation協議会(以下「SQI協議会」)の継続支援が決定した4チームのQWSで見つけた価値や、今後の意気込みをお届けします。

テキスト=長谷川菜月・中島貴恵 編集=渡辺舞子・守屋あゆ佳

 

QWSステージとは、3か月に一度、SHIBUYA QWSに集うプロジェクトメンバーがそれぞれの活動の中で見つけた「可能性の種」を放つ場です。QWSステージ当日はQWS内に舞台が設営され、発表するプロジェクトは、3分間で各々の活動成果についてピッチを行います。

先日、4月23日に開催されたQWSステージ#6。今回は18プロジェクトが登壇し、各々の成果を発表しました。そのなかから、「もしシブ」「stich_」「YU-RA」「Sustainable Game」の4チームが、SQI協議会の審議によって、QWSでの活動期間の延長の支援を受けることが決定いたしました。

キーノートトーク

QWSステージでは毎回各分野の第一線で活躍する方をゲストを招き、話を伺う「キーノートトーク」を実施しています。今回のゲストは、京都大学学際融合教育研究推進センター准教授の宮野公樹さん。「問いを問う」というテーマでお話いただきました。

自分が、本当に問うべき問いは?

「皆さん口々に『問い』と叫んでますが、問いというのは考えのことです。考えているのは自分なので、問いとは自分そのものなんです。

そういう観点に立つと、他人も自分もなくて全部自分だっていうことが言えます。例えば、僕は20年連れ添ってる嫁はんのことは何でも知ってると思ってたけど、実は、つい最近自分がスーパーで買ってくるまで、もやしナムルが大好物だって知らんかったんですよね。皆さんが誰かのことを「この人はこういうやつやな」って思ったとしても、その人が本当にそうかは分からんってことです。誰かに対する『この人はこういう人』と思っているのも自分だから、実は、他人も自分もなくて全部自分なんですよね。」

「意見や考えの大元を探っていくと、『存在』にたどりつきます。ここで、他人も自分もないので“自分がない”ということに気がつくわけです。でも、この恐ろしい事実から這い上がって立ち上がる問いこそが、自ずと力強く、多くの人に響きを与え得るのです。自分の外にある問題を自分の問題にしている人も多いですけども、この問いに向き合って行動するとき、あなたは、あなたの人生を生きてますわ。己の問いがいかほどのものか、それがそっくりそのままその人の人生です。」

宮野さんのお話を聞き、社会に溢れる課題に対して、自分が向き合うべき本当の問いを見極める、その勇気が必要だと感じました。幸せというのは、もしかすると、自分の芯から湧き上がるピュアな「問い」を感じることから始まるのかもしれません。

 

宮野さんのお話の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

継続支援プロジェクト 代表者インタビュー

関わりの中で文化を育て、街をもっと面白く

もしシブ 鎌田 頼人さん

もしシブは、「もしも渋谷にオフィスビルがなかったら?」を問いに掲げ、「企業のリモートワークが推進され、オフィスビルからのテナント撤退が続く2030年の渋谷」を見据え、街の課題とポテンシャルを探り、理想の渋谷の方向性を提言していきます。

旗を掲げ、仕組みを作り、つながりを武器に突き進む

僕達のチームは「グランドレベル」と「ナイトタイム」、つまりあらゆるジャンルの人が意識せずに集う場所と時間に可能性を感じ活動しています。例えば、とあるライブハウスで、その場所や土地にゆかりのある人達で共同経営する仕組みを作るなど、人と人、そして場所と人とのつながりを作り、文化形成していくことを模索中です。

コロナ禍で過去の仕組みが通用しなくなってきている今は、未来に向けて理想の旗を立てる時期。「本当はこう在るのが美しいけれど、普通は無理だよね」と言われてきたことにも、チャンスがあると思うんです。僕達は、クラブシーン、宿泊、サードプレイス、交通・警備など、ナイトタイムに関する各ジャンルで新しいガイドラインを作成しています。20代を渋谷で過ごしてきた自分達だからこそ、東京のここ渋谷でナイトカルチャーに関して先導できる存在となっていきたい。それと同時に、旗を立てるのは僕達だけではありません。QWSで出会う人を始め、ビジョンに共感してくれる人々と一緒に、よりよいナイトタイムを作るために邁進していきたいです。

世の中に自分の本当に好きなものを追求できる文化を

stitch_ 平澤良樹さん 田中琴奈さん

stitch_は、一枚の服に想いを込めるファッションデザイナーと、買い手を直接繋ぐプロジェクトです。自らの価値軸に沿った選択をする文化をつくることで、作り手も買い手も好きなものと向き合い、クリエイションを追求できるビジネス基盤を構築することを目指しています。

一枚の服を軸に一人ひとりの心の豊かさを育てていく

田中:QWSに入会した当初はアイディアベースの状態だったので、自分たちが何に困っているのかも曖昧でした。スクランブルミーティングでは、事前の課題の洗い出しに苦労したのを覚えています。QWSをきっかけに出会った多くの方の力を借り、ブラッシュアップを重ね、だんだんと課題や他のプロジェクトとの関わり方が明確になっていきました。

平澤:QWSには、周りがなんと言おうと「自分はこれが価値だと思うから取り組んでいるんだ」とはっきり言える人が集まっています。僕たちは、作る人も着る人も、本当に好きなものと向き合える世の中を作りたい。作り手はクリエイションを追求し、買い手は服を前にして「自分が好きなもの」と向き合う、自分にとっての「本物」を追求できることに価値があると信じています。
ビジネス基盤が整ってないという理由で、好きなものに全力で向き合えなかったり、進みたいと思った道を諦めざるを得なかったりする現状を変えていきたいです。僕たちは、一枚の服を軸として、一人ひとりの心の中にある豊かさの文化を育てていきます。

動く照明で現代に時間の豊かさを取り戻す

YU-RA 武藤琴音さん

情報に流されるような忙しない時間感覚を覚える現代に、「動く光」を配置し、揺らぎのある体験を生み出す。YU-RAは作品制作を通じて、人それぞれの中にある、時間の豊かさを取り戻すことを試みるプロジェクトです。

QWSで芽吹き、人々を揺るがす光へ

jikanからYU-RAに名前を変えて挑んだQWSチャレンジ6期。プロジェクトとして、これまで試行錯誤を繰り返し制作してきた動く照明を、いよいよ「発信する」フェーズになりました。今回の活動期間では、QWSの繋がりがきっかけで、TRUNK HOTELさんに作品を設置してもらうなど、外部での展示にも挑戦。そのとき制作できるベストなものを作って持っていきましたが、完成されている空間の中に置いてみると、意外と小さかったり、光温度が他の照明とあっていなかったり、とあらためてプロダクトに対する気付きを得ることができました。

東京大学生と東京藝術大学生のチームで活動する私たちの主な活動場所は、大学かQWS。みんなで夜通し研究室に籠って制作活動を行うことが多い大学に比べると、QWSは外との繋がりをつくってくれる場所。お父さんのように頼れる会員さんやスタッフの皆さんもいますし、私たちにとって家のような存在になりつつあります。

チームとしての最終的な目標は、来年のミラノサローネへの出展。そのためにも、まずは今秋、東京で開催されるデザインとアートの祭典「デザイナートトキョー2021」で展示をしたいと思っています。私たちはこれからも作品制作を通じて、室内でも移ろう光の美しさを体感できる空間を創造していきます。

分断のない未来のため、アクションの波を起こしたい

Sustainable Game 山口由人さん

私たちは「誰1人取りこぼさないゲーム(社会)モデル」Sustainable Gameを生み出すことを目指し、企業と中高生の相互の状況を深く理解し、「次世代と大人」という二項対立のない共創環境をオンライン上に構築するプラットフォームを実装します。

世代感覚も出会いも全て糧に、思考を止めずに歩む人

チームの仲間や他の会員さん、企業さんとたくさん話してあっという間の3ヵ月間を経て、活動が2期目に入り、プロジェクトが動き出したなという感覚があります。今はスポンサー企業の皆さんとドキュメンタリー番組「SPINZ」(※1)を作っている他、若者向けのアクセラレートプラットフォーム「フレア」も準備中です。SPINZは前代未聞の企画。新しく何かに取り組むときの孤独に対し、他にもこういう人が居るということや、その行動から生まれる暖かな波を伝えていきたいです。

今後は、僕達の掲げている3つのアプローチ(※2)を通して、日本中どこにいても、どんな若者でも真似してアクション出来るようにしていきたい。僕自身、こんなにたくさんの企業から協力をしてもらえるとは、半年前までは思っていなかった。企業側も若者と一緒に事業をすることに、環境や法律の面でハードルを感じていただけと知れたので、その枠組みを変えていく一つの可能性をSPINZは示せたと思います。

僕達の世代は「Z世代」という括りで注目されがちですが、自分達の世代に誇りを持って連携している感覚もあります。一方で、自分達だけで何とかしようとする人も多い。Sustainable Gameでは、「大人と若者」などのあらゆる二項対立をなくしていきたいです。

※1 社会課題に対しアクションを起こしたい若者チームとタレントがタッグを組み、3か月活動するのをドキュメントしていく、オーデションドキュメンタリー番組。https://spin-z.com/
※2 Sustainable Gameは「人を知る、世界を知る」、「課題を発見・探究する」、「中高生と企業との共創」の3つのプロセスを実践している。

『QWSステージ#06』
18プロジェクト、それぞれのピッチ映像はこちらから

QWSステージ#06-You Tube

「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を募集しています

4月から活動を開始したQWSチャレンジ第7期のメンバーは、年齢も領域も様々。新しい仲間、新しい自分、新しい世界。どんな出会いが待っているのでしょう。それぞれのプロジェクトの問いは、どのように磨かれ、放たれていくのでしょう。

次回のQWSステージ#07は、7月29日に行われます。
QWSから生まれる「可能性の種」をお楽しみに。

 

QWSステージ#06登壇プロジェクト一覧

 

  1. Theatorical City|日本でもエンターテイメントを融合させた街づくりで世界に発信することはできるか?
  2. I’mbesideyou|オフラインよりオンラインの方が、人って理解できるんじゃないか?
  3. もしシブ|もしも渋谷にオフィスビルがなかったら?
  1. LIFE|買い手であった愛犬家が、作り手として自分たちのためのドックフードを作ったとしたら、どのようなフードが出来るのか?
  2.  RISEbyStudy|社会的課題解決と高効率な経済持続性は両立可能か?
  3. march-on|工芸と工業の間にある「新しいものづくり」の交差点とは?
  4. CityCamp|都会でキャンプすることは人々の心を豊かにするのか?
  5. stitch_|何者でもないものの価値とは?
  6. YU-RA|動く照明によって生まれる空間的な時間感覚とは?
  7. GrieFuu|死別の悲しみに寄り添うことはできるのか?
  8. 音声入力でデータ化|IT化、DX化が小売業で進展しない隠れた課題は、何か?
  9. ArtMeet|アート作品を実際に観た体験価値を他人と共有するにはどうしたら良いだろうか?
  10. New Game制作委員会|大学1年生の「つながり」はオフラインでの新歓以外につくれないの?
  11. センティーヌ|美術の授業で「センス」はつくれるのではないだろうか?
  12. Ekolokal|すべての消費が「エコ」になれば、どんな世界が生まれる?
  13. 超帰省|地元にしか帰省しちゃいけないの?
  14. Sustainable Game|中高生と企業の共創は社会の二項対立をなくすイノベーションを起こせるのか?
  15. 渋谷肥料|渋谷を「消費の終着点」から「新しい循環の出発点」にシフトできないか?

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