QWSステージ#19〜放たれる19の「問い」とムーブメントの兆し〜

QWSステージ

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3カ月間、問いと向き合い続けてきたプロジェクトメンバーたちの晴れ舞台、QWSステージ。今回は7月25日に開催されたQWSステージ#19の様子と、SHIBUYA QWS Innovation協議会(以下「SQI協議会」)による厳正な審査の結果、見事最優秀賞・優秀賞を受賞した4プロジェクトのSHIBUYA QWS(以下QWS)で見つけた価値や、次のQWSステージへ向けた意気込みをお届けします。

テキスト=上田 慶・植村 麻理奈・ティンレイ・中島 萌栞・邑田 龍成 編集=守屋 あゆ佳 写真=寺田 國生

QWSステージ#19に登壇したプロジェクトメンバーたち

QWSステージとは、3カ月に一度、QWSに集うプロジェクトメンバーがそれぞれの活動の中で見つけた「可能性の種」を放つ場です。QWSステージ当日はQWS内に舞台が設営され、発表するプロジェクトは、3分間で各々の活動成果についてピッチを行います。

QWSステージ#19では19プロジェクトが登壇し、各々の成果を発表しました。SQI協議会の審議のもと、全19プロジェクトの中から「mariu」がSQI協議会最優秀賞に選ばれました。また、SQI協議会優秀賞として「Child Play Lab.」、「comodo.」、「情熱に満ちた子供達」の3プロジェクトがそれぞれ受賞し、計4チームがQWSでの活動期間の延長の支援を受けることが決定いたしました。

キーノートトーク

QWSステージでは、各分野の第一線で活躍している方をゲストにお招きし、講演していただく「キーノートトーク」を実施しています。第19回のゲストは開発ユニット AR三兄弟の長男として活躍する川田十夢さん。10年間にわたってミシンメーカーで特許開発に従事した後、AR技術を活用したさまざまなプロジェクトを通じて、人々の感覚を拡張し続けている川田さんに「人々を楽しませ、新たな体験を提供する問い」についてお話しいただきました。

 

――川田十夢さんのキーノートトーク

「問い」を通じた自己探求

私は「問いの中の問い」を探求する人生を歩んできました。最初の「問い」は3歳のときに遡ります。それまで“話す必要がないから”という理由であまり話さなかった私が、医者から自閉症かも知れないと診断を受けて、親が悲しむ姿を見て「これは何かアクションしないとまずいんじゃない?」と思ったのです。この経験が私にとって最初の「問い」でした。そんな親の心配から私はスイミングスクールに通い、スパルタ教育を受けることになります。声を出さないとやられてしまうーー。そんな厳しい環境での練習を経て、4歳から5歳の頃にはスイミングスクールでトップの成績を残せるようになり自信が生まれ、自分の存在は言葉や実績で示さなければ伝わらないことを学びました。

革新を生む、夢の具現を

その後、大学時代にオンラインで自作プログラムを発表したことがきっかけで、社会人時代には特許開発に携わりました。特に、ミシンをインターネットに繋ぐIoT技術を開発したことで、今の活動に繋がる「AR開発」に一層取り組むことになります。2005年当時、ARという言葉はほとんど知られていませんでしたが、技術の進化を見据え、ガラケーやノートパソコンの普及を背景に「AR三兄弟」というプロジェクトを結成しました。以来15年以上「どれだけAR技術の浸透に向けた開発事例の増加に取り組めるか?」という問いを掲げ、活動しています。

 

この期間中、様々な企業からヘッドハンティングの誘いを受けましたが、私は「ビジネス主体」ではなく「表現主体」で活動を続け、自分のやりたいことに専念しています。AR技術を活用したプロジェクトの一例として、渋谷のスクランブル交差点での日本史を遡るパレードや、日本橋での能のストリートパフォーマンス、百貨店でのインタラクティブなオーケストラ体験などがあります。これらのプロジェクトで目指すのは人々の感覚を拡張し、場所と時間を超えた体験を提供することです。子供のとき喋ったり泳いだりして結果を示さないと誰にも存在が伝わらなかったように、大人になっても技術を技術として見せるのではなく表現として見せて楽しんでもらうのが大切です。

 

「ARを含む様々な専門技術を使って現実そのものを拡張し、人を楽しませたり、時間を忘れさせたり、夢みたいな気持ちにすることができないか?誰もが自分の存在に自信が持てるようにならないか?」ーー。今後もこの問いを持って色々なユニークな作品を開発してゆきたいと思います

登壇者略歴( 川田十夢氏)

AR三兄弟 長男 / 開発者

1976年熊本県生まれ。中央大学商学部卒業後、ミシンメーカーでシステムと特許開発に従事。開発ユニット「AR三兄弟」の長男として、ジャンルを超えた拡張を続ける。テレビ番組『情熱大陸』『タモリ倶楽部』などに出演し、J-WAVE『INNOVATION WORLD』でナビゲーターを務めるほか、WIREDなどで連載を持つ。通りすがりに大学の先生をやったり、WOWOW番組審議委員や数々のコンテストの審査委員も歴任している。

受賞者インタビュー

誰でも移動できる医療・福祉モビリティインフラサービス

プロジェクト名:

mairu 
田上 愛さん 板橋 拓也さん

人生で誰にとっても移動は必要不可欠。現在、バスやタクシーといった既存の交通手段では担うことのできない医療・福祉の移動ニーズは年々高まりつつあります。mairuはQWSチャレンジ14期生としてQWSに入会以降、現在はモビリティ分野で医療・福祉のインフラ構築を事業に、株式会社mairu techを立ち上げ、活動しています。

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幾度の困難も一緒に乗り越えた仲間たちと、渋谷から全国へ

 

QWSで活動し始めてから1年7カ月。当初思い描いていたサービスのリリースから、今回のステージでお披露目した車両の展開まで、さまざまな段階を踏んで活動をしてきました。初めはサービスを形にすることに精一杯で、作ることに必死。「mairuの新しさや強みはどこにあるのか」をメンバー間で何度も問いました。また、並行して会社としての土台を作る必要もあり、採用や役割分担まで、多様なステークホルダーと接点を持ちながら試行錯誤してきました。

 

サービスリリース後は様々なフィードバックをもらって、搬送の現場においては新しいサービスの受け入れにハードルがあることも身にしみて感じました。なかなかスケジュール通りに進まず、辛い思いもしましたが、仲間に支えられながら活動を続けることができました。

 

QWSステージは今回が4回目の登壇。自分たちの成果を発表する見せ場でもあり、実績を認めてくれる場所だとも思っています。私たちにとってQWSは、良い意味で悩んでいる姿や苦しんでいる姿も見せられる場所なんです。だからこそ、またQWSという場で、アップデートし続けるmairuの成果を皆さんに発表できるように、これからも全国展開を視野に活動を広げていきます。

子育てを「やらなきゃ」から「やりたい」へ

プロジェクト名:

comodo. 
山崎 玄稀さん

子育て支援に関する法律や制度が整備されていくなか、それらが最大限の効果を発揮するためには「子育てに対する意識」そのもののアップデートが必要ではないでしょうか。comodo.は、子育てに関して『両親の対話』を大きなテーマとして設定し、そのためにまず「パパ」へはたらきかけるイベント型サービスを提案することで、「育児に対する意識の変革」を起こし、その先に「より楽しい子育て」の実現を目指します。

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ほぼゼロベースのアイデアから、事業としての可能性を見出せた3カ月間

 

初めてのQWSステージでの発表を終えて、想像以上に自分たちの活動に動きがあったことに驚きました。起業やスタートアップに向けて走り始めたばかりの私たちは、この3カ月でQWSのプログラムのほぼ全てに参加。特に印象に残っているのは「スクランブルミーティング」です。入会後、すぐに参加したことによって、ぼんやりとしていたプロジェクトの方向性に関して的確なアドバイスをいただくことができました。また、QWSの外でも子育て支援施設でのボランティアを始めるなど親御さんの身近なところから課題感の解像度を上げる経験を積むことにも専念しました。結果として、これまで以上に親御さんの抱える課題への理解が深まり、本質的に子育ての課題を解決するには「パパ」に着目することが重要であるという新しい発見にも繋がりました。私たちは普段は研修医として働いているので、並行してプロジェクトの活動を進めるのはとても大変でしたが、今回の受賞でそんな日々が報われた気がしています。

 

QWSには様々な分野で活動している方がいますが、QWSに来るとその誰もが熱意を持って真剣に取り組んでいる姿を見ることができます。彼ら彼女らと同じ環境に身を置くことで常に刺激を受け続け、燃え尽きることなく活動を続けることができました。今後は企業や自治体の方々との交流を増やし、活動の幅を広げていきたいと考えています。

PLAY is Magic!〜こどもたちの願いと遊びが溢れた世界の実現を目指して

プロジェクト名:

Child Play Lab.
猪村 真由さん 飯島 百々葉さん

Child Play Lab.は『PLAY is Magic!』を合言葉に、こどもたちのワクワクが生きるエネルギーになる社会価値の創造を目指しています。これまでに遊びのブランド「POCO!」を立ち上げ、主に入院中の小学生を対象にしたあそびのスターターキット「アドベンチャーBOX」を開発してきました。最近は企業とのコラボレーションを通じて、より多様な仲間と「あそびの魔法」のあり方を模索し、病気の有無に関わらずこどもたち自身の持つ力が最大限に引き出されるための療養環境の実現に向けてチャレンジしています。

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どこまでも『こどもたち』が主語でありたい

 

QWSステージに立つのは今回が2回目。前回は初めての登壇ということもあって、逆に緊張はあまりしていなくて。でも今回は半年間、QWSで活動をする中でご縁があった企業の方々や新しく増えたメンバーをはじめ、いつもお世話になっている方々に見守られながらの登壇。皆さんの優しい眼差しに安心感とちょっと背伸びをする、授業参観のような緊張感がありました。

 

この3カ月では、前回までの活動期間で磨いたプロトタイプを実際に病院に導入。約100名を超えるこどもたちに体験してもらい、改善点の洗い出しやプロダクトとしての価値を再定義しました。また、チーム内でも改めて実現したい世界観やどんな連携をしていくべきかを話し合い、ブランドとしてのあり方を見つめ直した期間でもありました。その他にもQWSから新たに提供が始まった「PR伴走支援プログラム」を活用し、ブランディングやマーケティング戦略などをサポートいただきました。広報はチームとしてナレッジの薄い領域であり、なかなか尽力しきれない分野でしたが、担当者のお2人との面談をはじめ、POCO!の提供価値を改めて整理するきっかけとなり、まさに「かゆい所に手が届く」感覚でした!

 

今後はこれまでに磨いてきたプロダクトをより多くのこどもたちへ届けながら、引き続き病を抱えるこどもたちや、そんなこどもたちを見守る親御さん・現場スタッフの現状に対する理解度を高めていきたいと考えています。また、複数の病院への導入や、退院後も継続した見守り体制の構築も目指し、地域でのワークショップなどを実施していく予定です。引き続き、目の前のこどもたちに向き合い続けると同時に、組織の土台づくりを着実に進める期間にしていきたいと思います。

思春期の感情とサブカルをつなぐ架け橋に

プロジェクト名:

情熱に満ちた子供達 
大塚 有楠さん、星野 想太郎さん、浅田 悠之介さん

誰もが通る“思春期特有の曖昧な感情”を対話やサブカルチャーを通して引き出し、言語化することで、思春期の子供たちに寄り添う「情熱に満ちた子供達」プロジェクト。等身大の高校生視点を存分に活かし、QWSで出会った高校生から大人までさまざまな人の人生や経験を聞いて、モヤモヤする感情を言語化した本を制作しました。

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QWSで生まれた「爆オタ」、大人との対話で得られた視点

 

初めてのQWSステージは、高校生である僕たちが普段大人には言えない当事者としての悩みを伝えることに重きを置きました。準備期間を含め、メンバーの結束力が上がっていくのを身をもって感じましたし、一人でもかけていたら今回の賞はなかったと思っています。

 

QWSは何かに行き詰まった時、誰に相談しても必ず身になる返答があるので本当にすごい場所だなと実感しています。僕らがミスをしても、笑って励ましてくれるような温かい人ばかり。QWSで出会った大人たちは、良い意味で高校生という忖度なく接してくれたのが嬉しかったです。

 

特に「スクランブルミーティング」では、メンターから「本としてだけではなく、みんなのアルバムとして思春期に感じた悩みを大人になってから思い出すきっかけになる」という言葉をいただき、大きな気づきがありました。また、チームの根幹にある「思春期とサブカルを混ぜた時に何が生まれるのか」という問いについてどうキャッチーにさせるべきか悩んでいた時には、会員さんとのブレストを通じて最終的に「爆オタ(爆裂オタク)」という言葉が誕生。そのおかげでプロジェクトとしての解像度を一気に上げることができたと思います。

 

今後は、ピッチでも話した通り、まずはクラウドファンディングでの目標金額を達成させることが目標です。ゆくゆくは様々な表現媒体を通して、全国にいる思春期の子供達の心をガッツリと掴めるように、“オタク魂”でみなさんを魅了していきたいです。

「QWSステージ#19」
キーノートと19プロジェクトのピッチ映像はこちら

「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を募集しています

2024年8月から活動を開始したQWSチャレンジ第20期のメンバーは、年齢も領域も様々。新しい仲間、新しい自分、新しい世界。どんな出会いが待っているのでしょう。それぞれのプロジェクトの問いは、どのように磨かれ、放たれていくのでしょうか。次回のQWSステージ#20は、2024年10月末に行われます。QWSから生まれる「可能性の種」をお楽しみに。

現在、QWSチャレンジ第21期を募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。

QWSチャレンジ第21期を募集中

QWSステージ#19登壇プロジェクト一覧

1.  TAVIO|4D表現が普段使いのツールとなるとき、私たちは何を伝え何を残していくのか

2. 脱力就活|新卒一括採用を見直すべきか?

3. comodo.| 両親の関係が子どもに与える影響はどれだけ大きいのか?

4. リビングラボ from Death| 「死というテーマ」をどこまで豊かに想像し、よりよく生きるためのツール・サービスを産官学民で創発できるか?

5. Aethamelon| 高校生の高校生による高校生のためのアントレ教育とは?

6. Tradition Lives in the Now~伝統は今にある~|伝統工芸の担い手が技術の継承だけで終わらないようにするにはどうしたら良いか?

7. One by One Music|動物が音楽を聴く世界は訪れるだろうか?

8. OFFLINE FOR WELLBEING|「つながりっぱなし」の現代で【オフラインの時間】が持つ意味は何だろう?

9. てらすaromaプロジェクト|衰退する日本文化に新たなニーズを確立させることはできるのか?

10. mairu|誰もが行きたい場所へ移動できたら、どんな世界になる?

11. micro development| 「いつかやりたい」を「今やろう」にするには?

12. Soullume Project|江戸東京野菜は東京の新しいグルメブランドになるのか?

13. Shipasip|グーテンベルクは電子書籍に夢をみるか?

14. ARTMeeT|アート作品を実際に観た体験価値を他人と共有するにはどうしたら良いだろうか?

15. 情熱に満ちた子供達|思春期の特有の曖昧な感情をサブカルチャーを用いて言語化するには?

16. ゴミを宝に変える研究所@高知県須崎市|ゴミを宝に変えるには?

17. ラブホテルイノベーション|なぜラブホテルはおすすめデートスポット10選に載っていないのか?

18. Child Play Lab.|心から湧き出てくる願いや目標が生きる力になりうるのか?

19. マイナースポーツの未来をつくる|子どもたちがマイナースポーツを当たり前に続けられる世界をつくることはできるか?

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