『QWSチャレンジ』は「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を推進するプログラムです。
採択されたプロジェクトメンバーに、プログラムを通して感じた変化や、QWSという場をどのように活用しているのかを聞いてみました。挑戦の裏側にあるリアルな声をお届けします。
Toi I
プロジェクトを始めたきっかけ
小中高の画一的な教育への違和感から、大学ではアクティブラーニングやMOOC、学習環境デザイン、ラーニングアナリティクスなど「学びのオルタナティブ」に触れてきました。一方で、異分野の研究者が自分の偏愛や探究を語り合うインフォーマルな場の豊かさに強く惹かれました。同じ空間にいながら越境的な対話が自然には起きないもどかしさから、異質な“オタク”同士を見つけてつなげる越境学習のプロトタイプや越境に巻き込んでいく仕組みを試してきたことが、このプロジェクトの出発点です。近年はビジネスセクターも含む多様な共同体で、周辺参加から始まる小さな越境体験をテクノロジーで支える方法を探っています。
プログラムへ応募した理由
実は当初、QWSチャレンジに応募するつもりはなく、「問い」を軸に情熱を持った人たちが集まるQWSというプラットフォームを、探究・越境・共創を日常化するプロトタイプづくりの実験場としてご一緒できないかと問い合わせをしました。突然の連絡にもかかわらず事務局の方が丁寧に話を聞いてくださり、「それならQWSチャレンジ生として挑戦してみませんか」と提案いただいたことが、応募に至った直接のきっかけです。この環境なら、自分のモヤモヤを社会に開き、多様な人の力を借りながらじっくり育てていけると感じました。
採択された時の心境
採択のメールを見た瞬間は、素直にうれしかったです。同時に、これまで自分と仲間でこねてきたモヤモヤを、渋谷という街の真ん中で本格的に開いていくことになるのだという緊張感もありました。また、年代問わず熱量ある方々が集まっている場だからこそ、そこに飲み込まれたり、場の雰囲気に合わせすぎるあまり「本当にやりたかったこと」や「らしさ」が捨象されてしまわないようにしたいという思いも強くなりました。むしろ飲み込まれないくらい、プロジェクトの哲学や世界観を自分たちの言葉で問い直していく必要性を改めて感じました。
活動中の過ごし方と学び
QWSでは、自分の問いを洗練させるワークショップに参加し、問いのアップデートだけでなく、ファシリテーションの仕方や問いそのものへの向き合い方を学ばせてもらいました。多様なメンターとの対話を通じて、プロジェクトが刺さるポイントと今後伸ばすべき要素の輪郭も見えてきました。仮にグローバルにこのプロジェクトを展開していくところまで考えるとすると、街や国の個性も含めて自分たちのナチュラルな特性を問い直すことが重要だと感じています。かつて私が暮らしていた1000年の都 京都とも対比しつつ、渋谷の街や東京のビル群をこのスペースから眺めながら、江戸・明治から続く歴史にも触れつつ、東京を実は余白のある自由な発展途上の都市として捉え直すきっかけにもなりました。
プログラムを通じて得たこと
一番の収穫は、頭の中のモヤモヤを「問い」「コンセプト」「プロトタイプ」といった単位に翻訳し、他者と共有できる形にしていく感覚がつかめたことと、「このテーマを続けていていいんだ」と様々な方に肯定してもらえたことです。自分の探究に真正面から向き合ってくれる他者がいる場は、これまでは大学くらいしか思い浮かびませんでしたが、それがより民主化されつつある実感も得ました。多様な方に壁打ちしていただき、自分のフィールドとして活用できる、もってこいの環境だと感じています。今後は、問いを媒介に人と人をつなぐ非同期分散的な“ソーシャルネットワークショップ”の仕組みを磨き、企業や研究者・地域コミュニティなど多様な現場と接続していきたいです。
空飛ぶ防災プロジェクト
プロジェクトを始めたきっかけ
1995年1月17日の早朝、淡路島北東部を震源とする最大震度7の地震が発生しました。阪神淡路大震災です。プロジェクトリーダーを務める私自身も大阪の実家で被災し、日常が機能停止することを10代で経験しました。 祖母と母が被災した熊本地震では、被災で亡くなった方の4倍にもあたる方が関連死で亡くなり、昨年の1月1日には能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、多くの尊い命が失われました。 阪神淡路大震災から30年が経過し、社会は進化しているにも関わらず、ニュースに映し出された避難所の光景は、30年前と変わらないことに疑問を感じ、「被災者としての経験と航空業界での経験がお役に立つのでは?」という問いが生まれました。
プログラムへ応募した理由
私たちの問いは、『災害対応 × 空のチームという新しい災害対応の姿が見えるのでは?』というものです。 この問いに唯一の答えは無いため、災害対応と航空業界という一見すると交わりがない双方の特性を紐解き、私たちの「問い」を様々な視点から見ることで、「多くの解」に触れてみたいと思いました。 そこで、QWSに集う多様な会員の皆さん、アカデミックな視点からアプローチできるQWSアカデミア、エキスパートによるメンタリング等々、多種多様なプログラムから「問い」にアプローチできるQWSでの活動を通じて私たちの「問い」を様々な視点から捉えることで、「私たちなりの解」を見出し、世の中のお役に立ちたいと考えました。
採択された時の心境
倍率がとても高く、採択されるのは難しいと聞いていたので、採択結果を聞いたときは、とてもとても嬉しかったです!! しかし大喜びの後に、3ヶ月という期間はとても短いので、この限られた時間で「成果を形にする」ことの難しさも改めて感じました。 その後、採択くださった渡部志保さんのコメントを読む機会があり、とても感動しました。採択くださった想いにお応えできるよう、一歩ずつ確実にプロジェクトを前に進めていく思いを改めて強くしました。
活動中の過ごし方と学び
QWSでは、「出会いが生まれる」プログラムがとても多く準備されており、まずはそのプログラムに沿ってスタートしました。その中で、QWSという「場」が持つチカラを強く実感し、時間があればQWSという「場」に身体を置いて刺激を受け続けたいな!と考え、短い時間でもQWSに通うようにしました。 QWSに来ると、毎回違う発見や出会いがあり、これはQWSでしか体験できないものだと強く思いました。 そのようなワクワクを感じて欲しく自分の子どもと一緒に訪れたこともありました。今後は、1DAYパスを用いてプロジェクトメンバーの家族もQWSに集合することも企画しており、家族も含めてQWSにどっぷり浸かります!
プログラムを通じて得たこと
QWSでは、さまざまな出会いが自然な形で叶うようにプログラムが準備されています。多くの人と出会うことは、自身の「問い」に対して、自分たちが見えている景色とは異なるアプローチをもらえる貴重な機会であり、このようなプログラムが準備されていることに感謝の気持で一杯です。しかし、せっかく準備されているそのプログラムを使うかどうかは、自分次第でもあります。 応募を検討されている皆さんには、是非QWSチャレンジに挑戦し、採択された後はQWSの場に可能な限り身を置いて、刺激を浴び続ける心地良さを是非感じてもらえたらと思います。
BedlessAdventure
プロジェクトを始めたきっかけ
私自身が長期入院を経験した際、病室に閉じ込められるような感覚や、友人や家族とのつながりが突然途切れる孤独を強く味わいました。その経験が、今も心に残り続けています。もしあのとき、外の世界を感じられたり、誰かと気軽に話せる手段があったなら、あの重さは少し変わっていたかもしれないと感じています。同じ思いを抱える子どもたちの孤独と閉塞感を少しでも軽くしたいという願いが、プロジェクトを立ち上げた根本的な理由です。
プログラムへ応募した理由
自分の問いを本気で磨き、実現に近づけるためには、挑戦者が集まる環境に身を置くことが必要だと考え、QWSへ応募いたしました。社会で活動されている方々や熱量の高い同世代と出会い、視野を広げたいと思ったことが大きな動機です。応募を決めた際には不安よりも、「ここなら一歩前へ進める」という確信がありました。自分の原体験から生まれた課題意識を、QWSでさらに深め、形にしていきたいと考えています。
採択された時の心境
採択の知らせを受けた瞬間は、驚きと喜びが同時に押し寄せました。自分たちの取り組みが評価されたことが素直にうれしく、同時に「ここからが本番だ」という身の引き締まる気持ちもありました。周囲からも温かい言葉をいただき、期待に応えたいという思いが一層強まりました。また、採択後のメンタリングでは、厳しい意見もありましたが、自分たちの考えを丁寧に受け止めたうえで助言をいただき、挑戦に対する覚悟がより固まっていきました。
活動中の過ごし方と学び
QWSでは、放課後や休日を使って計画的に活動を進めていました。特に力を入れたのが、入院経験者の方々に向けたアンケートの準備です。どの質問なら本音を引き出せるか、回答者の負担をどれほど減らせるかを考え、何度も書き直しながら丁寧に形にしていきました。また、QWSに集まる多様な方々と交流する機会も多く、プロジェクトの話をするたびに新しい視点や改善点をいただきました。自分の問いが他者との対話によって磨かれていく感覚はとても刺激的で、価値観や物事の捉え方が大きく広がったと感じています。
プログラムを通じて得たこと
QWSでの時間は、自分たちだけでは気づけなかった「実現のために必要な現実的な要素」を多くの方から教えていただく貴重な機会でした。技術面だけでなく、病院で運用する際の安全性や導入手順、利用者への伝え方など、実装へ向けた視点が格段に広がりました。また、多様なバックグラウンドを持つ方々との対話を通じて、自分の考えを整理し、相手に伝える力も大きく伸びたと感じています。今回の経験は、次のステップであるプロトタイプ開発や協力先探しに確実につながっています。応募を迷っている方には、一歩踏み出すことが必ず成長につながるとお伝えしたいです。
