QWSステージ#11 ~3分間に込められた問いの未来とは~

QWSステージ

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3か月間、問いと向き合い続けてきたプロジェクトメンバーたちの晴れ舞台、QWSステージ。今回はQWSステージ#11の様子と、SHIBUYA QWS Innovation協議会(以下「SQI協議会」)による厳正な審査の結果、見事優秀賞・最優秀賞を受賞した4プロジェクトのSHIBUYA QWS(以下QWS)で見つけた価値や、次のQWSステージへ向けた意気込みをお届けします。

テキスト=小山田佳代・小林諭佳・佐藤琴音・髙木香純 編集=中島貴恵 写真=髙木香純

QWSステージとは、3か月に一度、QWSに集うプロジェクトメンバーがそれぞれの活動の中で見つけた「可能性の種」を放つ場です。QWSステージ当日はQWS内に舞台が設営され、発表するプロジェクトは、3分間で各々の活動成果についてピッチを行います。

7月28日に開催されたQWSステージ#11では15プロジェクトが登壇し、各々の成果を発表しました。SQI協議会の審議のもと、全15プロジェクトの中から『ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」』がSQI協議会最優秀賞に選ばれました。また、SQI協議会優秀賞として「PocketTips」、「neco-note」、「食べられる栄養スプーン〔salii〕」(企業賞である味の素賞とのダブル受賞)の3プロジェクトがそれぞれ受賞し、計4チームがQWSでの活動期間の延長の支援を受けることが決定いたしました。さらに企業賞としてNTTデータ賞を「KHAOs」が受賞しました。

3分ピッチの中で演奏を披露するKHAOsのメンバー

キーノートトーク

QWSステージでは、各分野の第一線で活躍している方をゲストにお招きし、講演していただく「キーノートトーク」を毎回実施しています。第11回のゲストは株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナーの高宮慎一さん。

ベンチャーキャピタル(※/以下VC)という立場からスタートアップ業界の成長を見守る高宮さんより、VC目線での「問い」とは何かをお話しいただきました。

*VC(ベンチャーキャピタル)・・・スタートアップに出資をする投資会社です。投資家から資金を預かり、未上場のスタートアップに投資を行い、事業のアドバイスをしながら、上場まで伴走します。

――高宮慎一さんのキーノートトーク

「問い」とは問題設定そのもの

「問い」とは問題設定そのものだと思っています。では問題設定というと、「3つの要素」が交差する点だと思っています。VCの視点では、問題設定とは出発点として非常に重要です。どんな顧客/ユーザの、どんな課題を解決していくのかを設定することそのものが、市場の大きさや今後の成長性を定義するからです。

「3つの要素」の1つ目は、自分は何をしたいのか、世の中をどう変えたいのかといった“起業家の内発的な問題意識”。
2つ目は、どんなユーザーの課題を解決するのかという“顧客視点”。そのユーザーは誰なのかといった解像度の高い設定がとても大事です。
最後の3つ目は、世の中で何が必要とされているのか、世の中で何が困っているのかといった“社会的要請”。

例えば、VCという事業では、起業家に対して経営的なノウハウを提供し上場までサポートする、投資家にリターンを返すといったユーザー向きの話ももちろん大切ですが、VC事業を行う前提として何のためにVCをしているのか、どんな社会的な要請に応えているのかといった軸、いわばビジョンが大切です。社会的なニーズにフィットしているからこそ継続する事業・活動になっていくし、いろんな人を巻き込んだ時に共感を得られるようになっていきます。

何かを成すという欲望を持つこと

僕が、あるお坊さんから聞いてすごく感銘を受けた仏教の言葉で、“小欲”と“大欲”というのがあります。「お金持ちになりたい」「権力持ちになりたい」というような”小欲”は捨て去るべき。自分の枠を超えて社会全体のために何かを成すような大きな欲望は、それはもはや自分をこえた大義として”大欲”となる。

皆さんには世の中の誰かを幸せにしたいといった思いで、社会的な課題解決に向かっていってほしいです。世の中に出した価値の分だけ、会社の価値となって還元されると思うので、ぜひ「大欲」を持って世の中を変えていってください。

登壇者略歴(高宮慎一 氏)

グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)ではデジタルおよびヘルスケア領域の投資を担当。投資先に対して社外役員として参画し、ハンズオンでの戦略策定、経営の仕組化、組織造り、国内外の事業開発を支援。Forbes Japan’s Midas List 日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング 2018年1位、2015年7位、2020年10位。
支援先には、アイスタイル、カヤック、メルカリ、ランサーズ、ナナピ、タイマーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アル、MyDearest、want.jp、アルプなどがある。

受賞者インタビュー

「地球に優しい」だけじゃない。わくわくする食事から健康を目指して

プロジェクト名:
食べられる栄養スプーン〔salii〕
中原杏菜さん

本プロジェクトは「食べられる栄養スプーン〔salii〕」の開発・販売を行っています。「salii」はスプーンとしての実用性だけでなく、健康機能性や、環境保全への貢献性を兼ね備えることで、若年層に蔓延する「食事への抵抗感(ギルト)」や「プラスチック使用への抵抗感(ギルト)」から解放することを目指しているプロダクトです。

プロジェクト詳細はこちら

家族のような“温かいお節介”に惹かれた

活動を始めた頃、高校生ということで褒められることはあるけど、それ以上の関心や厳しい意見をもらえる機会が少ないと感じていました。最初はQWSチャレンジ11期生「清走中」のプロジェクトメンバーとしてQWSに通い始めたのですが、通う中で、ここに集う人たちは「他人に関心がありすぎる」ことに気がついたんです。

メンタリングセッションのときはもちろん、日頃の活動中も多くの人たちが気にかけてくれる。時には厳しい言葉もいただき、真剣に向き合ってくれていると感じました。その頃、別で取り組んでいた「salii」も、さまざまな方の支援が欲しいフェーズに入っていたので、厳しくも温かいアットホームなこの場所で活動がしたいと、QWSチャレンジに応募しました。


自分たちのペースで。着実に、貪欲に、進んでいく

メンバー3人とも大学1年生で、それぞれプロジェクトと同じくらい大切にしたいものが他にもあったりする。時間は有限だけど、「やりたい」という自分の素直な感情はなるべく犠牲にしたくない。大学の勉強も部活もプロジェクト活動も全部やっちゃった!みたいな人がいてもいいのでは?と、必死に食らいついて活動してきました。

賞をいただいたときは「皆さまに応援していただいた分、一つ明確な形で成果を残せたんだ」という嬉しさと同時に、「“そこそこ”では終わらせられない」という責任感も生まれました。

これまでの3ヶ月でプロダクト完成から製造ルートの確保もできて、今は商品を置いてもらえる店舗との交渉や、一般の方向けの販売方法も検討しています。“脱プラスチック”の側面で環境配慮の商品と捉えられがちですが、自分たちの目指す「わくわくする食事で健康になる」という軸をぶらすことなく、より多くの人に「salii」を手に取ってもらえる方法を考えていきたいです。

プレッシャーがあるほうが頑張れる私たち。QWSの皆さんに愛されているという感謝の気持ちを忘れずに、次の3ヶ月も貪欲に取り組みたいと思います!

活動の最新情報はInstgramで発信しています▽
https://www.instagram.com/salii_jpn/

人も猫も関係ない。自然な世界を作るため

プロジェクト名:
neco-note
黛純太さん

neco-noteは、「猫のためになにかしたい、でも“できない”。」そんな想いを抱える人が会員登録を行い、気に入った猫「推し猫」の新しい家族探しを応援できるwebサービスです。月会費や課金額の一部(最大96%)が、推し猫が所属する保護猫団体に寄付されます。「推し活」を通して保護猫団体の“自続可能性”を高め、保護猫活動の関わりしろをつくっていきます。

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QWSは部室。目標を持つ仲間と、ゆるく繋がる場所

QWSとの最初の接点はneco-noteの前に活動していたプロジェクト。

その頃から保護猫の事業をしたいと思っていたので、そのプロジェクトとは別に自分で、QWSチャレンジ9期に応募。結果、採択されました。応募した1番の理由は、メンターの方々の豪華さでした。

今や、QWSは部室みたいな場所。同じような目標に向けて頑張っている仲間がいる中で、のびのびと活動でき、居心地がとても良いです。

人も猫も関係ない。自然な世界をつくるため。

QWSステージで優秀賞を受賞するまでに9ヶ月かかりました。活動がやっと認められた気がして嬉しいです。

最初のステージでは受賞とならず、有料会員としてQWSに残り続けるか迷いました。ですが、QWSで繋がった仲間たちに、開発していたサービスをローンチするまではQWSに残ることを勧められ、残りました。そのあと6ヶ月間活動し、今回やっと受賞することができました。

自分が保護猫の活動を続ける理由は、猫が自分の一部に感じるからです。猫が傷ついていたら、僕も痛い。僕には、猫が傷ついていることが気持ち悪い。不自然だから変えようとしている。それだけなんです。

今は「neco-note stories,」のサービスを企画中です。今のneco-noteで提供しているのは、ライブ配信やテキストの情報。これでは、すでに保護猫に関心のある層にしか刺さらない。けれども、それをアート作品にすることで付加価値をつける。そうして、届けられる層を増やして、寄付額も増やし、保護猫活動をもっと前進させていきたいと考えています。

服の保存方法に新しい選択肢を

プロジェクト名:
PocketTips(ぽけっとちっぷす)
川口相美さん

PocketTipsは、「服の保存に“たたむ” “かける”だけでなく、“圧縮”するという選択肢を増やすことで、旅や日常の中で身軽でありながら、ファッションも多様に楽しめるのではないか?」と考え、服を圧縮できる技術の開発をしています。スペースの削減や時間の短縮、煩わしさの排除、身軽な宇宙旅行など多岐にわたる新たな価値を世界に広めていきたいと考えています。

プロジェクト詳細はこちら

QWSチャレンジ応募の際も今回のステージでも、一貫して伝えたかったことは、「服と人類との長い歴史のなかで、服の保存の方法が変わっていないのはおかしい。そろそろ新しい技術が生まれてもいいはず」という思いです。

QWSチャレンジ応募の際にPocketTipsを採択してくださったコモンズの麻生要一さん(株式会社アルファドライブ 代表取締役 兼 CEO)には、「こんなに服をたたみたくない人は初めて」と面白がっていただきました(笑)。

また入会してすぐに、あるきっかけで、以前からお会いしたいと思っていた宇宙関連の企業との衝撃的な出会いがありました。さらに、QWSで繋がった縁をきっかけに、さまざまな領域の方とのコラボレーション企画も進んでいます。

QWSのメンタリングの場である“スクランブルミーティング”では、多様なプロフェッショナルの方々からフィードバックをいただいたことで、プロジェクトの分析や、ビジネス化に向けた整理整頓を行うことができました。

一般のお客さんからの意見で、仮説が確信に

実証実験イベント“QWS CROSSTAGE”では、渋谷スクランブルスクエア7階の商業フロアにブースを出展し、一般のお客さんからアンケートを取ることができました。そこでいただいた意見のおかげで、自分たちの仮説に自信を持つことができました。

現在は、ファッションブランドのHOUGA(※)さんとコラボレーションし、東京コレクションに向けて調整を進めています。2023年春夏には圧縮服を販売予定なので、多くの人に見ていただけると嬉しいです!

HOUGA

QWSで多くの時間を過ごしたからこそ、広がった可能性

プロジェクト名:
ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」
北村 優斗さん

QWSプロジェクト「清走中」は、ゴミ拾いにゲーミフィケーションを融合したゲーム感覚ゴミ拾いイベント。ポイ捨てされたゴミがアイテムに変わり、街全体がゲームエリアとなるような世界観を演出することで“楽しさ”を入口に、ゴミ問題について考える機会を提供します。世界中で社会問題が取り沙汰され、解決に向けた活動が起きている現代に、“楽しさ”を入口として正しさを学ぶことができる活動で人々を動かしたいと考えています。

プロジェクト詳細はこちら

前回のQWSステージ#10 で優秀賞を受賞してから3ヶ月、ほぼ毎日QWSにいるな、と思うくらい、QWSでの活動に全力を注いできました。毎日いると色々な会員さんや外部の方との出会いがありました。その結果、この3ヶ月間でさまざまな自治体や企業と、今後も継続的に繋がれる関係を築けたことはとても大きかったです。

互いの強みを生かすことが、“官民共創”のあるべき姿

清走中は、今までは地元企業からの協賛金やクラウドファンディングなどの支援金をもとに活動してきましたが、この方法は持続可能ではないというのが課題でした。

そんな中、清掃費に年間約6億円の税金を投じている自治体がある、というデータに衝撃を受け、自治体と手を取り合ってビジネスができないかと考えました。

QWSで出会った方から、「企業と自治体、お互いの強みを生かすことが真の官民共創だ」というお話を伺い、ソーシャルビジネスを展開する清走中としての心構えも大きく変わりました。そして自治体に実際にプレゼンする機会をいただき、いま、開催に向けて一緒に走り出しています。

清走中には、子どもたちも多く参加してくれています。子どもたちが楽しみながらゴミ拾いをしているところを見るととても嬉しい気持ちになります。

9月11日(日)の新潟県上越市でのイベント(※)をはじめ、今後も様々な場所で“清走中”を開催します!ぜひ楽しみにしていてください。

ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」、新潟県・上越市で開催決定!

「QWSステージ#11」
15プロジェクトのピッチ映像はこちら

「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を募集しています

2022年8月から活動を開始したQWSチャレンジ第12期のメンバーは、年齢も領域も様々。新しい仲間、新しい自分、新しい世界。どんな出会いが待っているのでしょう。それぞれのプロジェクトの問いは、どのように磨かれ、放たれていくのでしょうか。
次回のQWSステージ#12は、2022年10月末に行われます。QWSから生まれる「可能性の種」をお楽しみに。

現在、QWSチャレンジ第13期を募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。

QWSチャレンジ第13期を募集中

QWSステージ#11登壇プロジェクト一覧

1. U-23サミット2022|志抱く若者が集まり手を取り合ったら、どんな新しい未来への一歩が創り出せるのか?

2. neco-note|猫の推し活サービスで、保護猫団体の“自続可能性“を高められるか?

3. Creators’ Hub|クリエイターのチカラで、世の中にまだない社会的価値を生みだせるか?

4. カチフル|「SDGs」と「企業ブランディング」の間にある違和感って何?

5. こころく|潜在的な「感情」を知ることによって、人を前向きにすることはできるか。

6. SHIBUYAサーキュラー広告プロジェクト|広告がサスティナブルであるためには?

7. CGOドットコム|ギャルマインドは世の中をアゲにできるのか?

8. KHAOs|好きを突き詰めてきた人が輝ける社会を創るには?

9. PocketTips|好きな服を好きなだけ詰め込んで宇宙旅行に行くには?

10. むじょう|死は、人生に締め切り効果を生み出し、善く生きることに寄与するのではないか。

11. 明日、福プロジェクト|意識高い系を誇れる社会を作るには?

12. 食べられる栄養スプーン〔salii〕|21世紀の若者は“1本のスプーン“で食へのワクワクを取り戻すことができるのか?

13. Bansoo!|行動変容を起こさせた時に、初めて紙に価値が宿るのではないか?

14. 双葉まるごと文化祭|被災地はほんとうに「かわいそうな地域」なのか?

15. ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」|ゴミ拾いを21世紀の遊びにするには?

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