3カ月間、問いと向き合い続けてきたプロジェクトメンバーたちの晴れ舞台、QWSステージ。今回は7月24日に開催されたQWSステージ#23の様子と、SHIBUYA QWS Innovation協議会(以下「SQI協議会」)による厳正な審査の結果、見事、最優秀賞・優秀賞を受賞した4プロジェクトをご紹介します。
テキスト・編集=越本 春香 写真=髙木 香純

QWSステージとは、3カ月に一度、QWSに集うプロジェクトメンバーがそれぞれの活動の中で見つけた「可能性の種」を放つ場です。QWSステージ当日はQWS内に舞台が設営され、発表するプロジェクトは、3分間で各々の活動成果についてピッチを行います。
QWSステージ#23では20プロジェクトが登壇し、各々の成果を発表しました。SQI協議会の審議のもと、全20プロジェクトの中から「comodo.」が、SQI協議会最優秀賞に選ばれました。また、SQI協議会優秀賞として「ToI Nexus」、「ラク育」、「synapses」の3プロジェクトがそれぞれ受賞し、計4チームがQWSでの活動期間の延長の支援を受けることが決定いたしました。
なお、企業賞として、東急賞を「Tailor You」、セブン&アイ・ホールディングス賞を「kotoha」、山梨県賞を「Gov Biz+」が受賞しました。また、ADDReC賞として、SQI協議会最優秀賞、優秀賞の受賞者全員にデジタル名刺「プレーリーカード」が贈呈されました。
キーノートトーク
QWSステージでは、各分野の第一線で活躍している方をゲストにお招きし、講演していただく「キーノートトーク」を実施しています。
今回のゲストは、株式会社Voicy 代表取締役CEO 緒方 憲太郎さん。
スタートアップから大企業まで経営者のブレインとして多数の会社の支援経験をもち、現在は「声で、未来を変える」をテーマに理念を掲げる日本の音声プラットフォーム 「Voicy」を設立され、人々にとってワクワクする豊かな未来を実現させています。
キーノートトークでは、そんな緒方さんから「未知の価値を切り開く 『問い』の立て方」をテーマにお話しいただきました。キーノートトークはページ下よりご覧ください。
登壇者略歴(緒方 憲太郎 氏)
株式会社Voicy 代表取締役CEO
起業家・エンジェル投資家・ビジネスデザイナー 公認会計士として社会人をスタートさせた後、1年間の世界一周の旅に出る。旅先で医療系NPO法人の立ち上げやオーケストラ公演のプロデューサーも行う。その後、アメリカの会計事務所Ernst&Youngに就職。帰国後は、Deloitteにてベンチャー起業家支援を経て、2015年医療ゲノム検査事業のテーラーメッド株式会社を創業、2018年業界最大手上場企業に事業売却。2016年に株式会社Voicyを創業。
SQI協議会最優秀賞/comodo

comodo.
『子どもは社会の宝である』
未来を創る子どもたちを大切に育てていくことは現代を生きる大人たちの役目であるが、現状子育ては課題が山積みである。
人格形成期に最も重要な幼少期の大部分を子どもは親と過ごす。親が子どもに与える影響は計りしれない。良い方向にも悪い方向にも子どもを導くことができる。そこで、私たちは「両親の良好な関係」、特に「両親の対話」に焦点を当て、子どもを取り巻く環境を暖かいものにしていきたいと考える。子育てという広いジャンルにおいて、このチームだからこそ見えてきた側面であり、挑戦すべきテーマである。子育ての固定概念を覆し、革新を起こしていく。
審査員からは忙しい研修医の中で活動してきたことや、アカデミアで論文を発表し、社会につなげていく可能性への期待が評価された。
受賞コメント
昨年の5月、研修医になったタイミングでQWSに入りました。QWSでヒアリングを重ね、パパへの子育て支援「Papa voyage」のアイディアを発表した初めてのステージから1年。実証実験も進み、ビジネスの方向性や進め方のアドバイスをQWSの皆さんにいただいたおかげでここまでこれたと思っています。これから忙しくなりますが、ビジョンは変わらないのでそこに向けてこれからも頑張っていきたいと思います。
SQI協議会優秀賞受賞プロジェクト

ToI Nexus
我々が開発しているのは、長年社会問題となっている高齢者の「特殊詐欺」を解決するプロダクトです。
開発を決めたのは、1年半前に自分が詐欺被害に遭ったからです。このデバイスは、リアルタイムで固定電話の詐欺電話を検知することができます。メンバーと協力しデバイスの社会実装を進め、自分と同じ思いをする人を増やさないために全力で開発を進めています!!

ラク育
ラク育は、託児所カフェ、出張託児、既存のキッズスペースを活用した週末営業のPOPUP託児所の3つの事業を展開しています。孤育て(ワンオペ育児)を撲滅し、親自身が自分らしく生きることで、子供にも良い影響を与え、社会全体の育児負担を軽減する仕組みを目指します。地域や企業と連携しながら、全ての親が「育児って楽しい!」と思える社会を実現します。

synapses
メディアは社会を映す鏡である。
オールドメディアは信頼性の高い情報を提供する一方で偏りの危険性があり、SNSは多様な声を広げる反面、誤情報や誹謗中傷の拡散が懸念される。
本プロジェクトでは、国内外の事例をもとにメディアが人権に与える影響を検証し、情報の伝え方や受け取り方を問い直すことで、人権保護の観点から持続可能な情報環境のあり方を探る。
QWSステージ#23登壇プロジェクト一覧
- kotoha|世界7000言語は私たちの日常をどう変えられるか?
- Trash Lens|手放されるモノの価値を最大化させるには?
- 技湧|伊勢崎絣が秘める感性的価値は、社会の新たなワクワクを生み出す原動力になるのか?
- 学生団体Educere|夢を持って目標に突き進む子供たちを増やすのに最適な教育プログラムとは何か?
- comodo.|両親の関係性が子どもに与える影響はどれだけ大きいのか?
- C-Hub|誰しもが行っている、”コミュニティのかけ算”は、どのような価値を生み出しているのか?
- ビヘイビアプロジェクト|私たちは自分たちのふるまいを、自らの意思で変えることができるのか?
- お勉強界隈|トー横界隈にいる子たちは、オーバードーズや未成年者の喫煙、売春をしない選択をつくるにはどうしたらいいのか?
- synapses|ネットリテラシーを身につけるために、高校生目線からどのようなアプローチができるか?
- ALLHOME|知らないまちが、“自分のまち”になる瞬間とは?
- ラク育|令和にワンオペ育児は無理ゲーじゃない?
- ONSTAGE|誰もが自由に表現できる場所を作るにはどうすれば良いか?
- 一般社団法人まなびぱれっと|安心してもがき、挑戦できる場があるとき、学生と社会はどんな新しい可能性に向かって動き出すのか?
- FUTURE is land|無人島を活用して、新たな価値を創出するには?
- Gov Biz+|もし自治体が公募をする際に、“前年踏襲”のような慣習ではなく、ゼロベースで最適な企業を選ぶ仕組みになったら、社会はどう変わるか?
- NIJIN高等学院|高校での学びが、社会とどうつながるか?
- イエドラ|演劇の価値追求で「毎日が冒険」のような日々を作れないだろうか? 〜演劇✖︎家〜
- ToI Nexus|世界から詐欺被害をなくし、自分と同じ思いをする人を生まないためには?
- MEMORI|自分の死は「誰に」「どうやって」伝わるのだろうか?
- TailorYou|誰もが理想の服を手に入れるには?
「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を募集しています
2025年8月から活動を開始するQWSチャレンジ第24期のメンバーは、年齢も領域も様々。新しい仲間、新しい自分、新しい世界。どんな出会いが待っているのでしょう。それぞれのプロジェクトの問いは、どのように磨かれ、放たれていくのでしょうか。次回のQWSステージ#24は、2025年10月24日に行われます。QWSから生まれる「可能性の種」をお楽しみに。
現在、QWSチャレンジ第25期を募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。