QWSステージ#13 〜出会い、磨き合う3カ月間。多彩な問いが歩む今と未来〜

QWSステージ

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3カ月間、問いと向き合い続けてきたプロジェクトメンバーたちの晴れ舞台、QWSステージ。今回はQWSステージ#13の様子と、SHIBUYA QWS Innovation協議会(以下「SQI協議会」)による厳正な審査の結果、見事優秀賞・最優秀賞を受賞した4プロジェクトのSHIBUYA QWS(以下QWS)で見つけた価値や、次のQWSステージへ向けた意気込みをお届けします。

テキスト=小林諭佳・髙木香純・根岸薫海 編集=小山田佳代 写真=髙木香純

QWSステージとは、3カ月に一度、QWSに集うプロジェクトメンバーがそれぞれの活動の中で見つけた「可能性の種」を放つ場です。QWSステージ当日はQWS内に舞台が設営され、発表するプロジェクトは、3分間で各々の活動成果についてピッチを行います。

1月26日に開催されたQWSステージ#13では14プロジェクトが登壇し、各々の成果を発表しました。SQI協議会の審議のもと、全14プロジェクトの中から「reanne」がSQI協議会最優秀賞に選ばれました。また、SQI協議会優秀賞として「Werp」、「ALL HOME」、「Nakajima Science Graphics」(企業賞である味の素賞とのダブル受賞)の3プロジェクトがそれぞれ受賞し、計4チームがQWSでの活動期間の延長の支援を受けることが決定いたしました。さらに企業賞としてNTTデータ賞を「KAMADO」が受賞しました。

3分ピッチでダンスパフォーマンスを披露するSCUAD知夏さん 

キーノートトーク

QWSステージでは、各分野の第一線で活躍している方をゲストにお招きし、講演していただく「キーノートトーク」を毎回実施しています。第13回のゲストは&Co. 代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザーの横石崇さん。

ブランド開発や組織開発、さまざまな社会の変革を手がけてきた横石さんに「価値がよくわからないものの伝え方」についてお話いただきました。

 

――横石崇さんのキーノートトーク

「価値がよくわからないものの伝え方」を身につけるには

約250年前、ジェームズ・ワットは「蒸気機関」を発明しました。今の私たちにはそれがどれだけ偉大な功績か理解できますが、はじめは見向きもされなかったんだとか。そこでワットさんは考えました。「どうやったらこの価値を理解してもらえるのか」。僕はこの「問い」こそイノベーターにとって、とても大事な問いの設定だと思います。

導き出されたキーワードは「馬」。当時、人は馬車で移動し、馬で農具を引いていました。そこで、ワットさんは蒸気機関のエネルギー量を馬の力に例えたのです。「馬力」ですね。すると、人々の蒸気機関に対する認識はガラリと変わり、一気に工業化の発展に繋がっていきます。

イノベーションというと、ついついテクノロジーの話と思われがちですが、僕は技術だけでなく、言葉やコミュニケーションも深く関わっていると思います。新しい価値を生み出す側にいる人たちは、その価値を伝えることからも逃げてはいけない。「価値がよくわからないもの」を伝える力を、僕は「見立て」の力だと思っています。

「見立て」で広がるクリエイティブ

QWSにいると「自分たちの活動をどう伝えればいいか悩んでいる」といった相談をよく受けます。ではここから少し「見立てる力」を養いましょう。

「卵×そば」なんだと思いますか?……「月見そば」ですね。卵の色と形、黄色い丸という要素を抜き取って、月に見立てています。では「コミュ力高めな人」はなんと呼ばれるか。……よく「潤滑油」と表現されますよね。チームの意見を取り入れつつ、物事を円滑に進めるという能力を言い換えています。

このように「見立てる」とは、Aという事象から要点や構造を抜き取って抽象化し、Bという別のものに置き換えること。本質を見つけて抽象と具象を行き来することは、より自由な発想や解決策を生み出すことにも繋がります。

ぜひ今日から「要は〇〇」「例えば〇〇」を日常生活の中でも意識してみてください。一人では難しいと感じたら、僕とQWSで「見立ての練習会」をしましょう。

登壇者略歴(横石崇 氏)

 &Co. 代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー 多摩美術大学卒。2016年に&Co.を設立。ブランド開発や組織開発、社会変革を手がけるプロジェクトプロデューサー。アジア最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では3万人の動員に成功。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」や渋谷区発の起業家育成機関「渋谷スタートアップ大学(SSU)」、シェア型書店「渋谷◯◯書店」などをプロデュース。法政大学兼任講師。著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。

受賞者インタビュー

生理でじぶんらしさを諦めない世の中に

プロジェクト名:
reanne 浅井しなのさん

「生理痛があるのは当たり前」「我慢すればよい」と考える人は少なくありません。月経随伴症状による1年間の社会的負担は6,828億円(経済産業省による調査結果より)といわれるように、生理による不調で普段の実力を発揮できない人がいます。reanneは、60年前に日本ではじめて発売されたナプキン「アンネナプキン」が当時の女性に革命を起こしたように、新しい生理との付き合い方を提案し『第二次生理革命』を起こします。

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想定外の出会いがあったQWSでの3カ月

QWSチャレンジに応募した理由は、世界観を伝える力を磨きたいと思ったからです。QWSに入る前から「ウェアラブル端末で体調管理を行う」というサービスの設計イメージはありました。サービスの世界観を大事にしたい、一般の人にサービスを届けられるようにしたい、そのためには、自分たちの想いを磨き込む必要がありました。その場所として、QWSは最適だと思ったんです。というのも、QWSで活動しているプロジェクトをいくつか知っていて、それらは全て尖っている、つまり、世界観を持っていると感じていたからです。

そんな想いで始まったQWSの3カ月。思ってもいなかった出来事が二つありました。一つはQWSコモンズという、多様なプロフェッショナルとのメンタリングセッション「スクランブルミーティング」。普段は直接繋がることがない、某大手企業のCTOの方やベンチャーキャピタルの方から、ヘルスケアアプリの設計について貴重なフィードバックをいただいたことです。二つ目は私たちとは別の分野で、ヘルスケアアプリを開発されている会員と繋がれたこと。コミュニティマネージャーの方から紹介してもらい、繋がることができました。その方は自分たちより2、3歩先を進んでいて、ロールモデルというような方でした。お話しできて、心が軽くなった!と感じてます。

次の3カ月間は、ステージで発表したアプリを実装する予定です。より多くの仲間を集めて、プロジェクトを進めていきたいです。

デジタルネイティブ世代の理想の実現が社会全体を前進させる

プロジェクト名:
Werp 田中盛尊さん

一つのサービスのなかに複数の機能を備え、業務の効率化を実現するソフトウェア、Werp。コンセプトは「情報の入力は一度だけ」。Werpを使えば、今まで当たり前に行なっていた二度手間や手作業する無駄な時間をなくすことができます。デジタルネイティブ世代の「もっとこうすればいいのに」をITで実現するというミッションを掲げ、社会全体がもっと前進できるよう活動しています。

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QWSでの活動で得られた「ガチな応援」が大きな転機に

QWSにいると、いろんな人と雑談できるのでとにかく楽しいです。中でも印象的なのは、QWSコモンズの方との出会い。やっていることや目的が近しかったこともあり、応援していただけることになったんです。いろんな人を紹介してもらい、出会った企業から仕事をいただくこともできました。資金面や社会とのつながりを持つことができたのは、平均年齢20歳の若いプロジェクトである僕らにとって、大きな出来事でした。

僕たちは普段プロジェクトメンバーとして活動していて、QWSステージに登壇するのは今回が初めてでした。だから3分のピッチで「何を伝えるべきなのか」が正直わかっていなかったんです。そんなとき、QWSに入っているコーポレート企業が開催していた相談会に参加しました。「コミュニケーションコストという言葉が必要だね」と教えてもらったときに、僕らが伝えるべきことや課題が明確になって、プロジェクトにとっても大きな転換期になったと思います。

今後は、行政が使っているシステムを設計したいという大きな野望があります。まずはQWSのプロジェクトチームに使ってもらって、いつかはQWS全体に導入してもらいたいです。Werp以外にも開発しているツールがあり、着々と準備を進めているので、ぜひ今後の展開にも注目してほしいです。

科学をイラストで翻訳し、新しい価値を生み出したい

プロジェクト名:
Nakajima Science Graphics 中島佑佳さん

Nakajima Science Graphicsは研究者の考えを可視化するイラストを作成し、イラストの最適な活用方法を考え、アカデミアと社会のコンタクトポイントの構築を試みるプロジェクト。イラストを起点とし、人とのコミュニケーションを生み出し、人の考えの伝え方や広め方を模索しています。

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研究室を飛び出した先のQWSで、企業のニーズを発見できた

プロジェクトの発端は、知人が研究の成果発表の表現に困っていたこと。イラストが得意な友人を誘い、研究発表のイラスト制作を引き受けたのが始まりです。

その後も、身近な人を中心にサービスを続けてきました。プロジェクトに私の好きな要素が3つも含まれていたからです。第一に科学を扱っていること。また、人の話を聞いて整理すること。最後にイラストという、感性に魅力を訴えるものが好きだということ。事業化する目標はありませんでしたが、とある起業家の方にビジネスとしての可能性を言語化していただく機会がありました。そこから「科学技術を正しく伝えるイラストを提供するサービス」の可能性を認識し、活動を本格化させることを決め、QWSチャレンジに応募しました。

QWSでは、コーポレート会員の大企業の方にヒアリングできたことが良かったです。ぼんやりとニーズはあると思っていましたが、実際に伺えたことで「大企業が蓄積してきた科学技術や知識を社内外に伝え新しい価値を生み出したい」という次の目標が明確になりました.。次の3カ月は私にとっても、学生から社会人へと変化をするので、重要な期間になる予感がしています。14期のタイミングでは、法人化してスタートし、事業を加速させていきたいです。

あなたができることから、子どもの可能性を広げてみませんか

プロジェクト名:
ALLHOME 
吉住海斗さん

全ての子どもにやさしいホームを実現するため、社会で子どもを育てる仕組みをデザインするALLHOME。社会的養護に関わったことのない人ももっと自由に、心地のいい距離感・やり方で、子どもたちと関わることができるよう、多様な形で社会的養護と社会をつなぐ仕組みを作っています。

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コラボレーションの可能性に気づいた3カ月間

QWSステージでは、3カ月間のドラマを伝えることを大事にしました。メンバーと一緒に準備できたからこそ、優秀賞をいただくことができたと思っています。

前回のステージで、「施設の子どもたちをQWSに連れてくる」という約束をしました。しかし、実現までのハードルが高く、僕は怖気づいてしまったんです。そんなとき、僕らの活動をサポートしてくれているお寿司屋さんの方から「一緒に何かやろうよ」と連絡があり、クリスマスに児童養護施設にお寿司を届けに行きました。ALLHOMEとしてこういったイベントを開催するのは初めてでしたが、コラボレーションの可能性の幅を知ることができ、とてもいい経験になりました。その後、実際にQWSで施設の子どもたちを招いた見学ツアーと交流会を開催。当日参加いただいたQWSコモンズの方に「こういう場がほしかった、こういうイベントこそ参加したかった」と言われ、ALLHOMEのやるべきことがより明確になった気がします。

次の3カ月では、いろんな会員の方を巻き込みながら、恐れずにチャレンジしていきたいです。例えば、施設の子どもたち×移住。一見、実家がないことは悲しいことだけど、移住先で家族のように温かく迎えてくれる環境があったら、最高じゃないかなって思うんです。これからもマイナスをプラスに変えて、社会で子どもを育てる仕組みのデザインをしていきます。

「QWSステージ#13」
キーノートと14プロジェクトのピッチ映像はこちら

「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を募集しています

2023年2月から活動を開始したQWSチャレンジ第14期のメンバーは、年齢も領域も様々。新しい仲間、新しい自分、新しい世界。どんな出会いが待っているのでしょう。それぞれのプロジェクトの問いは、どのように磨かれ、放たれていくのでしょうか。次回のQWSステージ#14は、2023年4月末に行われます。QWSから生まれる「可能性の種」をお楽しみに。

現在、QWSチャレンジ第15期を募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。

QWSチャレンジ第15期を募集中

QWSステージ#13登壇プロジェクト一覧

1.  SCUAD|世界各地の地域文化をバーチャルファッションとして表現するとなにが生まれるのか?

2. neco-note|猫の推し活サービスで、保護猫活動の自続性を高められるか??

3. ラブホテルイノベーション|なぜラブホテルはおすすめデートスポット10選に入っていないのか?

4. KAMADO|アートの「心・家・財布」、3つの壁がなくなるには?

5. 休息イノベーション|人はどうしたら主体的に立ち止まることができるか?

6. オルタナフレンド制作ラボ|大人がイマジナリーフレンドを持つことでより創造的になれるのではないか?

7.reanne|生理でじぶんらしさを諦めない世の中にするには?

8. GOOD SOCIAL GOOD ENTERTAINMENT|社会課題をエンタメにすることは可能か?

9. Werp|世の中の便利って本当に便利?

10. Bird Bath Project|アートは働く人のマインドにどのような影響を及ぼすのか?

11. What do you CREATE from BIG SANDBOX?|日本一の「砂場」に、「日本の未来」が詰まっているのではないか?

12. Nakajima Science Graphics|研究者の知られざる脳内が、イラストで見える化されたら?

13. ALLHOME|社会的擁護の子供たちの可能性はそこで働く人たちの幸せを通じて広げることができるのか?

14. wizoo|個の想いは、動物園水族館のアニマルウェルフェアの向上に貢献できるだろうか?

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