出会い紡がれた想い “問い×問い”で見つけた新たな視点

Exhibition

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SHIBUYA QWSは年齢や専門領域を問わず、渋谷に集い活動する人たちのための共創施設です。コミュニティコンセプトを“Scramble Society”とし、グループ間の交流や領域横断の取り組みから、未来に向けた価値創造活動を加速させることを目指しています。

2021年の6月11日から13日の3日間、QWS内で「一枚の服・モノの価値をつくるコラボレーション展」が開催されました。
今回のイベントは「これからの未来の作り手と、消費者とのコラボレーションの形を探る」というテーマで、QWSで“ものづくり”や“ことづくり”に取り組んでいる人たちが共同し、トークイベント(オンライン配信)や「一枚の服に込められた想いを聞く」展示が行われました。

QWSで活動中のプロジェクトstitch_を中心に、5つのプロジェクトがつながって開催されたイベントの様子から、“共創・コラボレーション”の魅力を探ってみたいと思います。

テキスト= 髙木香純  映像提供 = stitch_

一枚の服に込められた想いを聞く

今回の企画者stitch_は、一枚の服に想いを込めるファッションデザイナーと消費者のより強い繋がりを生み出すことを目指すプロジェクト。消費者に向けて作り手が込める想いやストーリー、製造過程といった文脈を伝えることで、一枚の服に愛着を持つ過程を再構築しています。QWSチャレンジ6期で採択されてから熱心な活動が評価され、現在はQWSチャレンジ8期生としてさらにパワーアップした活動を続けています。

今回のイベントでは、stitch_と繋がりのあったパリ在住のデザイナー大浦雲平さんがQWSに足を運び、自身の手掛けるブランド「CLOUD LOBBY」のコレクションを展示しました。一枚一枚の洋服に込められた想いを聞くことができる特別な機会。ECサイトではなく実際に商品を手にとり袖を通すこと、作り手から直に話を聞きこだわりを肌で感じる時間は、展示を訪れたたくさんの来場者やフラッと立ち寄ったQWSの会員さんたちにも、新たな気付きを得られる体験になったのではないでしょうか?

「言葉を纏う」新しいコスメ体験

展示をしているスタッフや来場者の目元にはサイバーやヒッピーなどの文字が。

これはQWSチャレンジ7期で活動していたプロジェクトMEJIRISHIによる“新しいコミュニケーション”の提案です。コロナ禍でマスクが当たり前になった今、“言葉を顔に纏えるコスメ”で目元から新しいコミュニケーションの形を探っています。

「何て書いてあるんですか…!」「私も付けたい!」そんな会話が聞こえてくる展示会場。親和性の高い2つのプロジェクトのコラボレーションによって、展示を観にきた人たちは新たなコスメの可能性とも出会い、さらなる特別な体験につながったようです。

多様な視点で切り取る“コラボレーション”

今回の企画では、展示会場から毎日トークイベントの配信も行われました。QWSだからこそ出会えた異分野のクリエイターたちによるトークセッション。イベントに参加した方たちに、トークの内容と「あなたにとってのコラボレーションとは?」という問いでお話を伺いました。

stitch_×CLOUD LOBBY×KAMADO

1日目のゲストは、現代アート・伝統工芸・民藝・モノづくりを発信しているウェブマガジン「KAMADO」を運営している柿内奈緒美さん。柿内さんは元々、クリエイターを支える活動をしたいというstitch_の目標に共感していましたが、今回のイベントをきっかけにさらにプロジェクトへの興味が湧いたそうです。

「KAMADOでアーティストにインタビューをするときは、必ずその人の生い立ちから聞くようにしています。どんな環境で、どんな思いで育ったかが必ず作品に影響してくるから。今回雲平さんとのトークでも、彼の生い立ちを聞いて納得することがかなり多かった。あと『作ること、表現することを大切にできる気持ちは日本の国力になる』という話はとても共感しました、私も日本のものづくり力は大事にしていきたいので。」

「私にとって今回のstitch_とのコラボレーションは、後の関係づくりに大きく影響していたと思います。はじめは興味本位で役に立てればと思って協力した企画でも、やっぱり一緒に活動するとお互いの理解度も変わってくるし、『応援してあげたい、一緒に頑張っていきたい』みたいな気持ちにつながってくる。こういう関係値を築いていくことがコラボレーションの魅力かなと。」

イベント終了後、柿内さんは今まで以上にstitch_の活動を支援したいという気持ちが湧いて、先日stitch_が取り組んでいたクラウドファンディングも「一番乗りだった!」と、笑顔で話してくれました。

stitch_×CLOUD LOBBY×march on

2日目のゲストは、工場とクリエイターとのコラボレーションによるプロダクト開発を促進・発信するプラットフォーム「march on」を運営している瀧原慧さん。QWSものづくり部の部長でもある瀧原さんと雲平さんは、「コラボレーションで大切にしたいこと」について語り合いました。

「ファッションも工業製品も、デザイナーがパターンや仕様書を書いて工場にお願いするところは同じ。その時に大切にしなきゃいけないのはお互いへのリスペクトです。どれだけ難しいことをお願いするのか、どのくらい時間がかかることをしているのか、そういったことを理解しあいながら互いにリスペクトをもった関係作りができるとより良いパフォーマンスに繋がる。その“より良いパフォーマンス”こそ、コラボレーションの価値ではないでしょうか。」

「コラボレーションという言葉は簡単に使われがちだけど、真に中身のある言葉にしていくのはコラボレーションの間を取り持つコーディネーターなのかもしれないですね。」

瀧原さんの手掛けるmarch onも、作り手の思いを届ける活動をするstitch_も、リスペクトしあえる関係作りを大切にする、まさにコラボレーションの要となる存在に感じました。

stitch_×CLOUD LOBBY×渋谷肥料

3日目のゲストは、サステナブル時代に“渋谷から新たな消費と循環のモデルをつくる”取り組みをしている「渋谷肥料」の坪沼敬広さん。坪沼さんも雲平さんも、今の仕事は自分が一番に得意としていたことではないそう。新たな環境に飛び込んで挑戦する2人の共通項は“チャレンジしようとするマインド”だったようです。

「渋谷肥料は“アマチュアの強さ”を売りにしているんです。その業界のことを知りすぎている人では見落としがちな“圧倒的生活者目線”を持っていると。雲平さんも元々は建築出身だから、ファッションの当たり前を壊していくような手法でデザインをしていると聞きました。異分野の環境に飛び込む時に大切なのは“チャレンジするマインド”なんだと、雲平さんと話していて改めて気付かされました。」

「職人さんやクリエイターさんとのやりとりって、ある意味決闘だと思うんです。エネルギーも使うし、とにかく緊張感がある。でもその緊張感があるからこそ、お互いのプロフェッショナルが発揮できる。これこそがコラボレーションの意義かな、どちらかが惰性ではコラボレーションの意味はないと思います。」

お互いの意見をちゃんとぶつけ合い、より良いものにしていこうという両者のエネルギーが、一人では生み出せないものを作り出す。「逆風があってこそのやりがいなんです」と話す坪沼さんの目は、エネルギーに満ち溢れていました。

stitch_× and more…

stitch_代表の平澤さんは“皆が対等な関係であることを認識するきっかけ”だと、コラボレーションについての想いと今回の企画展の気付きを話してくれました。

「コラボレーションという言葉には『複数の人々や組織が共通の目的を達成するために行う共同』という意味があると聞いたことがあります。
ファッションで言えば、素材を作る人、縫製する人、売る人、それを選んで買い、着る人。みんなに同等のプライドや責任があっていいと思うんです。自信を持って提供する服であれば嘘や遜ったセールスはいらないし、買う人もこだわりを持って選んだ一着には愛着やその後の手入れへの責任感も湧いてくる。作り手も買い手も『この一枚を大切にしたい』という同じ気持ちを持てたなら、それがこの消費社会での究極のコラボレーションなんじゃないですかね。」

「今回コラボレーション展を企画して、いろいろな気付きがありました。それぞれの活動内容は違っていても、先人たちのプロジェクトを進めていく上でのマインドや課題に向き合う姿勢はとにかく勉強になった。何より一緒に頑張っている、応援してくれる仲間がいるんだ、と気付くこともできました。

広い世界では無駄だと潰されてしまいそうな自分の声に耳を傾けてくれる人がいる。世の中に感じた違和感に、同じ視点で取り組んでいる人たちがいる。一人じゃないから胸を張って自分の活動を前に進めていける。“何かに取り組んでいる人こそが価値”だと気づかせてくれるのがQWSのいいところだと改めて思います。」

スクランブルな日常から得る、新たな視点

“コラボレーション”という言葉ひとつにも、これだけたくさんの考えや想いがあると分かった今回の企画。QWSでは、こうしたたくさんの視点や価値観に出会い、自身の問いを磨きながら、切磋琢磨してプロジェクトを進めていくことができます。
誰かと共創することで、自分だけでは気づけない新たな視点を見つけられる。コラボレーションする前には想像もつかなかった何かに出会えるかもしれません。

「あなたにとってのコラボレーションとは?」

ぜひ、QWSでこの問いについて考えてみてください。

 

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