シニア世代が現代社会に関わっていくにはーシン・ロウジン登嶋健太さん

インタビュー

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「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を推進するプログラム「QWSチャレンジ」。2019年11年〜2020年1月の3カ月のチャレンジ期間を通して、プロジェクトチームが抱く“問い”はどのように磨かれ変化していくのでしょうか。今回は平均年齢77.6歳のメンバーがVR映像制作を通して、街歩きで健康促進をしながら、完成した作品を福祉施設でのVR旅行体験会に活用し社会参画のキッカケにしているプロジェクト「シン•ロウジン」の登嶋健太さんに、9つの質問に答えてもらい、QWSチャレンジについて振り返ってもらいました。

ライティング/西尾吏加 編集/渡辺舞子 

1.どういうきっかけでSHIBUYA QWSを知りましたか?

2019年9月に開催されたQWS主催のクエスチョンカンファレンス「幸せな老後ってなんだろう?」に登壇したことがきっかけでQWSを知りました。

2.『QWSチャレンジ』に応募することを決めた理由はなんでしたか?

イベントで登壇した際に、「QWSチャレンジ」があることを教えてもらいました。最初、個人的には「こうゆうものがあるんだ」という感じであまりピンとはきていませんでした。でも、イベントに参加していたシニアメンバーから「QWSチャレンジ」に挑戦したいと連絡が来て、締め切りの2・3日前に応募することに。
これまでメンバーと2年間一緒に活動する中で、メンバーたちには「何かにチャレンジしたい」と自発的に思ってもらえるように心がけてきました。QWSチャレンジに応募したいと言われた時点で、メンバーのマインドが変化したことを感じ、個人的なゴールは半分達成していました。

 

3.具体的にどんな活動を行いましたか?

QWSでは、計16回のワークショップの実施とVRの体験イベントを開催しました。また、毎週日曜日はQWSに集まり、VRの企画から体験までのオフラインワークショップや、企画会議・制作に携わる作業をしてきました。

VR体験の写真 写真=吉松伸太郎

4.実際に参加して、良かったことはなんですか?

現代の日本には、超高齢者社会という現実があり、高齢者に「社会に参加しましょう」「デジタルを使いましょう」と促している理想像があります。とはいえ、現実はそううまくはいかない。理想に近づくためには高齢者が積極的にデジタル技術を使い、高齢者のモチベーションを維持することが課題だと感じていました。
今まではワークショップはクローズドな環境で行っていたので、QWSという空間で活動することによって、メンバーのモチベーションの維持ができましたし、刺激になりました。現役世代とシニア世代が互いに認め合い、お互い関心を持つということを体現しやすい場所で活動できて良かったです。

5.自分のプロジェクトがどうして採択されたと思いますか?

「渋谷×シニア」とか「シニア×テクノロジー」というギャップのある組み合わせが目を引いたということがひとつ。あとは、オリンピックが終わった後に問題視されると言われている高齢者の医療費・介護などの「2025年問題」によって、私たちシン・ロウジンのような活動が注目されてきているのも理由だと思います。

QWSステージの様子 写真=吉松伸太郎

6.『QWSチャレンジ』にはどんな人が集まっていると思いますか?

「不完全な人たちが集まっている」という印象です。たとえば、一期生は会社を持っていない共同体ベースで活動している人が多かったので、フレキシブルに活動できてる。違うプロジェクトのメンバー同士が二期で一緒にプロジェクトを組んでいたりと、ゼロイチ時点の人が集まってくるコミュニティってあるようでないですよね。今はなんでもオンラインの世界ですが、QWSはオフラインに特化してる場所で、そこが良いところ。不完全な人たちにとっては、場の雰囲気とか相手の口調とか表情というオフラインの情報ってすごい大切だと思ってます。

8.活動する中で「問い」は変化しましたか?

本質的には変化はありませんが、思考の階層が変わったと思います。他の問いに触れ合ったことや実際に若い世代と交流したことで経験値が上がり、以前よりも高い視点の位置から同じ問題に取り組んでいます。

9.『QWSチャレンジ』を経て、これから社会に起こしたいムーブメントはありますか?

今までの老人というイメージを変えれるような取り組みをQWSから作っていきたいです。
「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」という定年を向かえたシニアが元気な状態で第二の人生を考えるという地域創成の政府構想に興味があります。こちらの*意向調査によると、東京在住者の50代男性では半数以上の方々は地方へ移住する予定又は移住検討したいと考えてるそうです。そういった方を対象にVRコンテンツ制作の生涯学習を提案できるかもしれません。学んだスキルは移住した地方で社会活動をするきっかけになる。僕らが起点となり全国各地にコミュニティーつくっていきたいです。高齢者でも情報通信技術をフル活用すれば、社会と長くつながっていけることを体現したいです。

*内閣官房「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」(2014年8月)

 

登嶋 健太

プロジェクトリーダー

登嶋 健太

プロジェクトリーダー

東京大学先端科学技術研究センター 稲見・檜山研究室所属 福祉施設でVR旅行をプレゼントしてます。不自由な方の「心に残る風景」へ〜世界28カ国・38都道府県を訪問。総務省異能vation 企業特別賞受賞。メディア紹介多数

今期QWSチャレンジに採択されたプロジェクトはこちらのページで紹介中
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