「共創施設」を掲げるQWSには、様々なプレイヤーが「共創」を求めてやってきます。日々、大小問わず様々な共創が生まれていますが、今回はコーポレートメンバー「株式会社ロッテ」と、自治体の「愛媛県」「新潟県」の共創事例に密着。3社の出会いからQWSでの活動、そして地域の味が商品化に至るまで、詳しく聞いてみました。
この記事は、2025年度中に活躍したQWSプロジェクトへのインタビューをまとめたSHIBUYA QWS Annual Report 2024に掲載された記事のロングバージョンです。プロジェクトのあゆみを振り返りながら、ブレイクスルーしたきっかけ、ターニングポイント等について伺っています。

──メーカーと自治体の課題を打破した「奇跡の出会い」
ロッテ 山田佳之介さん:昭文社さんの旅行ガイドブック『ことりっぷ』とコラボしたチョコパイの企画は、2020年のコロナ禍に「お菓子を通じて疑似旅行体験を提供したい」という想いからスタートしました。その後アフターコロナを迎え、単なる疑似旅行体験に留まらず、その土地にしかないお店とお客様を結ぶ「旅へのきっかけ」となる商品にし、地域活性化に貢献したいという想いに至りました。そこで自治体の方のリアルな課題を直接伺える機会はないかと模索していた時、QWSのコミュニケーターさんから、たまたまその場にいらっしゃった愛媛県のみなさんをご紹介いただいたんです。
愛媛県 石川舞さん:あの日はまさに奇跡の出会いでした。当時、私たちは首都圏でのPRにおいて「愛媛の南予(なんよ)地方にどう足を運んでもらうか」を課題にしていたタイミングでしたので、ロッテさんがこんなコンセプトの商品を作っているなら、ぜひ一緒にやりたい!と思い、すぐに県庁内に提案したんです。
新潟県 上田真之さん:私たちもQWSを利用しているタイミングでこのお話をいただいたのですが、まさに県全体のPRに繋がる新しい機会を求めていたところでした。大企業であるロッテさんと、QWSという場所のネットワークを通じてこれほどスムーズに繋がることができたのは、本当に大きなチャンスだったと感じましたね。

愛媛県 加賀山真帆さん:愛媛県は、大洲市で地元の方に長く愛されているカフェ「Ridi(リディ)」のチーズケーキをロッテさんにご提案して、「ことりっぷ ふんわりプチケーキ」として商品化していただきました。
愛媛県 渡部宣人さん:Ridiさんは大洲城というお城の近くの川沿いにあり、落ち着いた雰囲気ながらとても人気のお店なんです。
愛媛県 加賀山真帆さん:「愛媛県=みかん」のようなわかりやすい特産品に頼るだけではなく、地域に本当に来てほしい場所や食を商品を通じてPRできるというのは、自治体として画期的な取り組みでした。
新潟県 武樋彰広さん:新潟県からご提案したのは、新潟市の沼垂(ぬったり)テラス商店街にあるカフェ「編むと紡ぐ」でした。商店街全体で地域振興に取り組まれていますし、お店自体もニット産業が盛んな五泉市のルーツを汲んでいるため、新潟県全体の魅力を知っていただく良いきっかけになると考えたからです。ロッテさんには、同店の人気メニュー「焙じ茶のタルトショコラ」の味わいを、「ことりっぷ 小さなチョコパイ」として見事に表現していただきました。
ロッテ 山田佳之介さん:開発は試行錯誤の連続でしたね。それぞれの想いを形にするために、新潟県さんや愛媛県さんをはじめ、関係者の皆様とやりとりを重ね、妥協なく味づくりをしていきました。そうした苦労を経て、お客様にご好評をいただくことができたんです。

──「垣根を超えた本音の対話」と、全面バックアップが生んだ反響
愛媛県 石川舞さん:発売後の反響は凄まじかったですね。パッケージに「えひめ南予」と入れていただいたおかげもあり、地元のスーパーが特設コーナーを作って売り場をジャックするほど地域が盛り上がりました。さらに「食べて美味しかったので、お店にも来てみました」と、実際に足を運んでくださる新規のお客様も現れ、お菓子が「旅のきっかけ」になるという成果がたくさん生まれています。
愛媛県 渡部宣人さん:スーパーだけでなく地元のドラッグストアなどでも展開されていましたよね。また、Ridiさんのお店でも販売させていただいたところ、そちらもすごく人気でみなさんにお買い上げいただいていると聞いています。

新潟県 上田真之さん:新潟県としてもSNSや県の定期発信を通じてPRも行いましたが、やはり全国販売の影響力はものすごかったですね。関東からお店に足を運んでくださる方もいたなど反響も大きく、私自身、子供の頃から大好きだったチョコパイと新潟県がコラボできたことは、まさに夢のような企画でした。
ロッテ 山田佳之介さん:とてもうれしいです。こうして企業や自治体といった垣根を取り払って活動できたのは、この場所のオープンマインドな空気に助けられた部分が大きいですね。また、何よりありがたかったのが、発表会実施に向けたQWSの皆さんのサポートです。協業先と一緒に発表会を行うことは当社としては珍しく、まず、どこで実施するかを検討していたのですが、その時に施設内の「クロスパーク」での実施をご快諾くださり、発表会に必要な備品の準備、会場設営など、合同発表会を全面的にバックアップしていただきました。そのおかげで、発表会も盛況でした。
愛媛県 加賀山真帆さん:本当に盛況でしたよね。自治体単独ではなく、皆さんと合同イベントまで実現できたのは素晴らしい経験でした。あの日の偶然の出会いから始まり、こうして完成した商品を再びこの場所に持ち帰ってこられたようで、非常に感慨深い一日でした。
ロッテ 山田佳之介さん:今回の取り組みは出会いから形になるまでの成り立ちが自然で、メディアにもその熱意を真っ直ぐに受け止めていただけました。単に美味しい商品を作るだけでなく、地域を巻き込みながらこれほど多くの方に届けることができたのは、企業と自治体を繋いでくれたこの環境があったからこそだと感謝しています。今回のご好評を受け、これからもこうした出会いを大切にしながら、地域活性化につながるような取り組みや、共に社会へ新しい価値を届けられるような、新たな企画の可能性を柔軟に探っていきたいです。

写真左から順に
新潟県:武樋彰広、上田真之
株式会社ロッテ:山田佳之介
愛媛県:石川舞、加賀山真帆
オンライン参加:渡部宣人、田中雅登、村上爽太
