働くだけではない場所-QWSに抱く期待と価値とは?

インタビュー

  • 麻生要一
  • ハヤカワ五味
  • 横石崇

SHIBUYA QWSが開業して2020年11月で1年が経ちました。この1年間で大きな社会変動があり、暮らし方や働き方に対する考えも変わってきています。今回は、SHIBUYA QWSに期待を抱いて活動に賛同してくれているQWSコモンズの麻生要一さん、ハヤカワ五味さん、横石崇さんにQWSが持つ可能性と、今後の期待についてお聞きしました。

ライティング・編集=渡辺舞子

QWSスタッフ(以下QWS)=初めてSHIBUYA QWSの存在を知ったときはどのような印象を抱きましたか?

ハヤカワ五味さん(以下ハヤカワさん)=世の中にあまり近いコンセプトの施設がなかったので、想像できなかったです。

横石崇さん(以下横石さん)=「コワーキングスペースなんですか?」って聞いたら、そうじゃないって言われて「じゃあ、なんなの!?」と俄然興味を持ちました。未だにQWSが何なのかはわかっていませんが(笑)。

麻生要一さん(以下麻生さん)=今更スタートアップのコミュニティスペースを作っても世の中に溢れているので、「問い」がテーマと聞いたときに「いいな」と思いました。デザイナー向け、起業家向けなど職種やジャンルにコミュニティが寄りがちですが、「問い」から作ることによってセクターを超えるので、様々な職業の人のコミュニティができそうだなという印象を持ちました。

QWS=みなさん共通して「どんな施設だろう」と疑問に感じていたんですね。「QWSコモンズ」とは“QWSの価値に共感できる支援者コミュニティ”というテーマがありますが、QWSコモンズへの入会を決めた理由は何か教えてください。

麻生さん:僕は面白そうな人達と知り合いたいと思って入会を決めました。QWSで仕事をしているとコミュニケーターの方や会員さんから話しかけられて、出会いや会話を楽しんでいます。その中で、個人で出資検討しているプロジェクトもあります。

横石さん:元々は渋谷のシンボルになる渋谷スクランブルスクエアの開業自体に期待を寄せていましたが、QWSへ集まってほしい人物像の話を聞いて、15階こそが東京の中心地になる可能性も感じています。あと、15階だけはすでに5G回線が敷かれていて、しかも最大出力ができるミリ波を採用しているということで、ここだけ未来なんですよね。

QWS=みなさんにとってQWSでのお気に入りの場所はありますか? また、SALONはコモンズ専用のスペースですが、どのように利用していますか?

ハヤカワさん:私はケースバイケースで使い分けています。一人の時や大事なミーティングはSALONを利用したり、チームで話合いのときは広くスペースを使える方がいいので受付横のCROSS PARKにいることが多いですね。

横石さん:僕は基本SALONに居ます。あそこで珈琲を飲みながら仕事をするのが好きで、打ち合わせ、作業、読書、イベント配信など心地よく使わせてもらっています。先日のことですがコモンズ会員のコルクの佐渡島庸平さんが通りがかって「新しいボードゲームを作ったんだけど、人数が足りないから参加してくれない?」とお願いされたこともありますよ(笑)。

麻生さん:僕はSALONを一度も利用したことがないんです。基本はPROJECT BASEの窓際が眺めがよくて好きです。でも、そんな楽しい遊びの機会があるなら今度SALONに遊びに行ってみます(笑)。

横石さん:自粛期間を通して、QWSの場の素晴らしさに改めて気づいたこともあります。自主期間中は仕事も飲み会も全て家の中でやらなくてはいけないので窮屈に感じることがありました。QWSだと空間によって雰囲気が異なるし、多目的、むしろ無目的にも使えるのがいいところだなと思いました。

クロスパークで仕事をするハヤカワさん

QWS=状況によって使い分けができるのがQWSの魅力なんですね。QWSには会員さん含め、企業の方やコミュニケーターなど色々なメンバーが在籍していますが、特に印象的な出会いはありますか?

麻生さん:僕はQWSプロジェクトメンバーのRISEbyStudyのビリー大崎さんと知り合って、「今度投資イベントがあるのでエンジェル投資家として登壇してください」と言われてイベントに参加しました。事業内容にも共感しましたし、応援しています。(RISEbyStudyのプロジェクトページ

ハヤカワさん:私は女性関連のビジネスで活動している方をご紹介いただいたり、新規事業を立ち上げている方の壁打ちをしたこともあります。自分なりに発見があったのでいい機会でした。

横石さん:QWSでQWS BOOSTER PARTNERとして入居しているPeatixの藤田裕司さんと出会って、「つながっていいとも!」というオンライン対談番組を一緒にはじめました。「コロナ禍においては、新しい人との出会いがないから寂しいね」と話していて、オンラインだからこそできる新しい人との出会いの場をつくっています。

QWS FES OPENINGに登壇した横石さん

QWS=三者三様の出会いが面白いですね! それぞれ業種が異なるみなさんですが、どんな方にQWSコモンズを勧めたいですか?

ハヤカワさん:アイディアを広げたい人ですかね。アイディアって意見の掛け合わせだと思っています。だから引き出しがないと新しい発見や発想が生まれないし、リモートワークは刺激がなくなりますよね。だから、引き出しを増やしたい人や、アイディアのベースになるところを増やしたいという人にQWSをおすすめしたいです。

麻生さん:ビジネスという枠組みを超えて、新しい価値を創造しようと考えるイノベーターの方にお勧めです。逆に、誰と出会いたいかが明確な人にはQWSは向かないと思っています。優秀なスタートアップ企業と出会いたいなら、その人たちが集まっているコミュニティを選んだ方がいい。誰と会いたいかよくわからないけど、面白い人に出会いたい!という人にはぴったり。QWSっていい意味でわからない人がたくさんいるじゃないですか(笑)。それが面白いですよね。

横石さん:面白い人がたくさん居るだけでは何も生まれないし、起こらないということが多いんです。そこで大事なのは「課題意識」や「問い」というドライバーだったり、人を繋げる意思のある人、すなわち人と人を編むことができる人が必要だと感じています。そういう意味ではQWSは出会いを生み出す仕組みが適度に施されている印象です。

QWS FES OPNEINGに登壇した麻生さん

QWS=早いものでQWSは11月で開業して1年を迎えます。2年目に向けて、今後のQWSに対して抱いている可能性や期待を教えてください。

横石さん:これからの組織やチームにおいて大切なことは「ノウハウ(Know How)ではなくノウフー(Know Who)」と言われますが、QWSのメンバー同志で何か仕掛けるにしても、どんな人が所属しているのか、役割が見えていくとより強いコミュニティになっていくと思います。

ハヤカワさん:実際にQWSで何が起こっているのかがわかりずらいので、会員同士の交流の先にあるアウトプットがもっと具体的に見えたらいいなと思っています。

麻生さん:今は繋がっていない人たちをもっと繋いでいったら何かが起きると思います。ビジネスマッチングとは違って「問い」のマッチングというか、自分の中にはない問いでもその人の持っている問いにとても共感することはあるので、その可能性を広げてもらいたいです。

QWS=最後にSHIBUYA QWSとは一言で現すとどのような場所でしょうか?

ハヤカワさん:在宅期間で刺激がないなかでも、色々な物を垣間見れたり、色々な話が舞い込んできたりしたので、「きっかけになる」場所という印象ですね。

横石さん:僕はSALONによく居るのですが、自分を整えに行くような感覚に近いですね。適度な雑音の中で作業すると気持ちよく働ける場所。僕にとって問いを整えてくれる「サウナ」のような存在です。

麻生さん:出会いのベースキャンプ。とりあえずとQWSに行っておけば誰かと出会えるというような、意気込んで行くというよりも気軽に訪れる場所です。「基本的にはQWSで出会う」というスタンスでいます。

麻生 要一

株式会社アルファドライブ 代表取締役 兼 CEO

麻生 要一

株式会社アルファドライブ 代表取締役 兼 CEO

東京大学卒業後、リクルートに入社後、 ファウンダー兼社長としてIT事業子会社を立ち上げる。 その後、ヘッドクオーターにおけるインキュベーション部門統括として、 社内事業開発プログラム、スタートアップ企業支援プログラムなどの立ち上げに従事。 2018年より独立し、アルファドライブを含む複数社を創業・経営。リクルートと高知県・長野県塩尻市との包括連携協定の締結責任者、MICHIKARA地方創生協働リーダーシッププログラムの事務局&メンター、沖縄ITイノベーション戦略センター外部委員、アルファドライブ高知を通しての地域産業振興事業の推進、地域を担う次世代リーダー育成プログラムRyukyufrogs・HitachiFrogsスペシャルサポーター、さとのば大学名誉理事、等、地域活性への取り組み実績多数。

ハヤカワ 五味

株式会社ウツワ代表取締役

ハヤカワ 五味

株式会社ウツワ代表取締役

多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。大学入学後はワンピースブランド「GOMI HAYAKAWA」、2014年にランジェリーブランド「feast」、2016年にワンピースブランド「ダブルチャカ」を立ち上げる。2018年にはラフォーレ原宿に常設直営店舗「LAVISHOP」を出店。2019年からは、生理から選択を考えるプロジェクト「illuminate」をスタート。

横石 崇

&Co.,Ltd. 代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー

横石 崇

&Co.,Ltd. 代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー

多摩美術大学卒。広告代理店・人材会社を経て、2016年に&Co.を設立。ブランド開発や組織開発を手がけるプロジェクトプロデューサー。主催する国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では3万人の動員に成功。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。法政大学兼任講師。著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。

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