2023年3月20日(月)から一週間、渋谷駅構内にSHIBUYA QWS(以下、QWS)の広告が掲示されます。コンセプトは「共創広告」。QWSで活動する会員から「問い」を集めて、広告を共創したのです。集まった問いの総数は、123個。本インタビューでは、100以上の法人・団体、個人とともに「広告を共創する」という前代未聞のプロジェクトの裏側と、企画に込められた想いについて、プロジェクトメンバーに伺いました。
テキスト・編集=守屋あゆ佳 写真=髙木香純
きっかけは「スクランブルミーティング」での偶然の出会い
ーー今回の「共創広告」企画は、QWSプロジェクトメンバーGEKIと共同で取り組まれていると聞きました。きっかけは何だったんでしょうか。
QWS 野村:「きっかけは、昨年12月に行われた『スクランブルミーティング』です。QWSでは毎月、多様なプロフェッショナルからプロジェクトメンバーがメンタリングを受けられる『スクランブルミーティング』というプログラムがあります。当日来れなくなってしまったメンターの代わりに、急遽、私がGEKIさんのメンタリングを担当することになったんです」
GEKI 作左部:「僕らは『全ての事業にブランディングというプロセスが必要な理由とは?』という問いを掲げて、2022年6月にQWSに入会し、プロジェクトメンバーとして活動しています。もともと広告業界に身を置いていたメンバーが集まって、主に企業の課題を解決するためのブランディングやプロモーションアイディアのご提案などを行っています」
GEKI 氏家:「プロジェクトでは、毎日のようにQWSを使っています。共創という取り組みは広告業界でも注目されていますが、実際に共創できているかと問われると、成功している事例って決して多くはないと思うんです。一方で、QWSにはこれだけ多くのプレイヤーが日々集まっていて、各々が問いと向き合い、コラボレーションが生まれています。
半年ほどQWSで活動する中で、『僕らがQWSでできることってなんだろう』と考えるようになりました。個人的にですが、広告の魅力はアイディアで新しい社会的な価値を生み出したり、課題を解決したりできることだと感じています。これってQWSにも通ずる部分があると思ったんです。一見異なる問いを掲げているように見えても、視点を変えてみると交差するポイントは案外たくさんあります。アイディアに落とし込むことさえできれば、僕らなりの方法で共創のきっかけをつくれるかもしれない。そんなことを考えていたタイミングで参加したスクランブルミーティングで、偶然にも野村さんとお話しする機会があり、QWSへの想いを率直にぶつけてみました」
QWS 野村:「QWSで生まれている共創の価値を伝え切れていないんじゃないか、とまさに問いを突きつけられたんです」
QWS 出川:「たしかに、普段PRに携わる私としても『共創施設』や共創の価値について伝える難しさを日頃から感じていた部分はあって。類似している施設や事例が少なく、外部に発信するときの言葉選びにとても苦労していたんです」
QWS 山口:「普段、見学や視察にいらした方にも『QWSは共創施設であって、シェアオフィスやコワーキングスペースではないんです』と説明していますが、共創施設という言葉がメジャーなものではありません。特にメディアだと『要はシェアオフィスってことですか?』とまとめられてしまうこともあり、もどかしさを感じていました」
GEKI 作左部:「難しいですよね。これからは業界業種、性別、年齢の垣根を越えて共創していくことが当たり前の時代になっていくと思うんですけど、『共創ってそもそも何?』と思われているのが現状です。だからこそ共創事例が生み出されているQWSは、もっとその価値を発信していくべきだと思っています。
そこでスクランブルミーティングの後、いっそプロモーション活動もQWSに集うメンバーの力を借りて、みんなでつくり上げていくのはどうかと提案しました。なぜなら共創価値に挑むプレイヤーがいてこそ、QWSが成り立っているから。それが今回の共創広告です」
QWS 野村:「これまではQWSで活動する企業やプロジェクトそれぞれの共創事例を取り上げることで、共創の価値を伝えてきました。ですから、実際に共創するプロセスを見せて広告をつくる、という発想は全くありませんでした。また、意外にもQWSとしてプロジェクトと共創するのは初めて。まさに、未知の価値への挑戦だったわけです」
123の問いが集まったのは、3年間でスクランブルソサエティの土壌が耕されていたから
ーープロジェクトメンバーの「問い」を起点に始まっているんですね。結果的に、123個の問いが集まったそうですが、具体的にどんな「問い」が集まっているのでしょうか?
QWS 出川:「ありがたいことに、全部で123個の問いが集まりました。内訳としては、QWSコモンズ(*1)から19名、コーポレートメンバーから26社と9自治体、QWSプロジェクトメンバーから37プロジェクト、個人で活動するメンバーから4名。その他に、連携している7大学と、パートナー連携をしている21社の問いが集まりました。問いの内容はぜひ実際の広告を見てほしいのですが、本当に多様でユニークな問いが集まっています」
GEKI 氏家:「今回の企画は、主に会員専用アプリ内やイベントで告知したり、直接声をかけたりして賛同してくれる方を募集しました。正直、たった2週間でこれだけの問いが集まるとは思ってもいませんでした。時間も限られていたので、50個ぐらい集まったら十分じゃないかと話していたんです」
QWS 小田:「今回の企画についてお話ししたとき、『ぜひやりたいです!』とすぐに賛同してくれた方が多かったのが印象的でした。想定していた倍以上の問いが集まったのは、2019年11月の開業以来、QWSが掲げてきた、スクランブルソサエティ(*2)の土壌が着実に耕されている証といえるのかもしれません」
QWS 野村:「コーポレートメンバーに至っては、問いだけでなく、コーポレートロゴが一緒に掲示されています。ここで掲載される問いは、本来企業として掲げているパーパスやミッションと必ずしも一致しないものもあるんですよね。ただでさえハードルの高いお願いだったにもかかわらず、皆さんが調整に尽力してくださったと聞いています」
GEKI 作左部:「家電メーカーが飲食店にまつわる問いを出していたり、絵文字が入った問いがあったり。また、同じ業界に身を置いている企業のロゴが一つの広告に並んでいるなんてご法度だと言われてもおかしくはないじゃないですか。そういった垣根すらも超えて、手を取り合っていくことができる、QWS会員の皆さんとだからこそつくれた広告だと思います」
QWS 出川:「また、今回の企画について日頃からQWSにご支援いただいているコモンズ会員の方々からも『素敵な取り組みですね!』とコメントをいただけたことも、とても励みになりました」
*1:QWS会員の一種。各分野で活躍しているリーディングプレイヤーなど、SHIBUYA QWS の価値に共感し⽀援するコミュニティ。
*2:QWSのコミュニティコンセプト。グループ間の交流や領域横断の取り組みから化学変化を生み、未来に向けた価値創造活動を加速させることを目指している。
共創広告はスタート。共創のムーブメントをどう生み出し続けていくか
ーーまもなく公開となりますが、改めて今回の取り組みを振り返っていかがでしたか?
GEKI 氏家:「企画を提案するにあたって、一つだけ絶対にぶらさない軸を決めていました。それは、QWSに所属する会員の皆さんが自発的に参加したいと思える枠組みであること。アウトプットは広告ではありますが、QWSの内側から外側に広がっていくことではじめて企画が完成していくことに徹底的にこだわろうと提案しました」
QWS 山口:「初めて『共創広告』というコンセプトを聞いたとき、すごくワクワクしたのを覚えています。また、これだけ多くの方と広告をつくるのは私自身も初めてで、新たな発見も多くありました。だからこそ、どう次に繋げていくかが重要だと思っています。今回の取り組みを起爆剤として、これからも共創を追求していきたいと思っています」
QWS 小田:「賛同してくれた皆さんにもぜひ見てもらいたいですが、渋谷駅でふらっとこの広告を見た方が、自身の問いと向き合ってみたり、あるいは考えていた問いに対するアクションを起こしたり、新しいつながりが生まれるきっかけになったら嬉しいですね」
ーー最後に、QWSが向き合い続けている「共創」への今後の展望についてお聞かせください。
GEKI 作左部:「皆さんも言っていたように、ここからがまさに始まりだと思っています。共創は手段にすぎません。『僕らだからこそ、QWSで何ができるか』を一つの問いとして掲げながら、これからもQWSで活動していきたいですし、QWSと共創するアクションがもっと生まれていくことを楽しみにしています」
QWS 野村:「コピーにもありますが、今回の広告は決して一人ではできなかった広告です。個の時代といわれますが、年々、課題も複雑になっていく中で一人、一社ではできないこともたくさんあります。だからこそ、共創の価値はますます増してくるはず。これからもQWSが共創のムーブメントを生み出し続ける場所であるために、どうやって共創を生み出すか、どう発信していくか、我々も問い続けていきたいですね」
広告は2023年3月20日(月)〜3月26日(日)まで渋谷駅構内で掲示されます
広告は渋谷駅構内で2023年3月20日(月)〜3月26日(日)まで掲示されています。ぜひ、#共創広告 をつけて、SNSで投稿してください。
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