誰もが自分の才能を開花させて社会価値を創造できるような、AI時代の社会システム構築

これまでの社会は、情報と知識の非対称性を前提としたピラミッド型構造でした。一部の人々が情報と利権を優先的に獲得することで深刻な格差を生んできました。しかし、AIの台頭により状況は劇的に変化しています。誰もがAIを活用できる環境が情報・知能格差を解消へと向かわせ、社会は水平分散型、つまり個人の個性こそが価値を生む「個性型社会」へと変動してきています。また、我々は現在、SPOD時代からVUCA時代への歴史的な転換点にあります。

課題は、既存の社会システムがこの変化に対応できていないことです。教育をはじめとした各種の社会システムは従来のピラミッド型構造に最適化されており、新たな個性型社会やVUCA時代の要請に応えられず、多くの機能不全を生み出しています。

TRANSは、この歴史的転換点において社会の根本的変革を目指すプロジェクトです。我々の取り組みは二つの大きな柱で構成されています。

第一の柱は、AIと人が協働し、個性型社会において誰もが自分の特性や才能を最大限に活用できるための『共創プラットフォーム』の構築です。現在、多くの企業・個人・地域社会が持つ貴重な情報や能力は、単独で管理・活用されることが多く、社会全体の価値創造には活かしきれていません。例えば、会計情報を管理する企業は、ただデータを保管するだけでなく、困窮している企業の財務状況を分析し、適切な支援企業や人とのマッチングをプロデュースできるはずです。我々のプラットフォームでは、人と人、人と企業、企業と企業を有機的につなぎ、新しいプロジェクトや社会価値を創造します。この過程では、AIと人間が対等なパートナーとして協力し、互いの強みを活かし、従来は見過ごされていた社会の可能性を最大限に引き出すことのできる社会実現を目指します。

第二の柱は、そのような未来社会に必要な能力を統合的に養える『共育プラットフォーム』としての機能開発です。TRANSでは、Strategy・Finance・Design・Technology・Communicationという5つの核心領域を統合的に実践を通して学びます。従来の教育機関が単一の専門分野に特化するのに対し、TRANSが目指すのは、これらの領域を横断的に活用し、従来の価値観や枠組みを超えた新しい社会価値を創造できるプロデューサーの育成です。このプロデューサー育成において、我々は社会と人間が関わるすべての領域を研究対象としています。そのため学術機関との協働も積極的に行い、アカデミックな学びと実務としてのワークを境界なく実践します。単一の専門分野に留まることなく、すべての領域を自らの武器として際限なく活用し、未来を切り拓く真のプロデューサーを生み出すための新しい仕組みを創造しています。

TRANSは学生チームを核として、このプロジェクトに挑戦しています。私たちは既存の企業システムを知らないからこそ、純粋に新しい時代の価値観を受容し、創造できると考えています。そのために、実際のクライアントワークを通して、世の中の生きた課題とトレンドを構造的に再解釈・編集し、新たな社会価値の創造を目目指します。そしてそのチャレンジの基盤として、発達型指向組織（DDO）の理念に基づき、メンバー全員で組織論を探求しながら、個人の成長とチームとしての成長を同時に実現する新しい組織のあり方を模索し続けています。