患者は健常者を超えられるか?
何にチャレンジするのか?
我々はIoTやAI技術を活用し、①血糖値管理の簡易化・自動化、②血糖値データの治療以外への応用(仕事生産性向上やダイエット)に取り組みます。バイタルデータの活用によって、患者が健康状態を取り戻すだけでなく、過去の自分よりも能力を拡張する世界観をつくっていくことが本プロジェクトの目指すところです。
なぜチャレンジするのか?
慢性疾患を背負い患者として生きていくことは身体的・精神的・経済的に大変なことです。例えば1型糖尿病になると、常に血糖値のことを意識しながら1日複数回の自己注射をしなければいけません。治療を放棄すると重篤な合併症を引き起こし、生活の質が著しく低下する要因となります。解決すべきことは複雑かつ難易度の高いものですが、一生続く慢性疾患だからこそ患者自身が当事者意識を持って向き合っていくことが最も重要だと我々は捉えています。
また、今までの世界ではある意味で、患者は「弱者」だったかもしれません。ただ、テクノロジーやアイデアを駆使することで人間は能力を拡張することができます。患者が血糖値などのバイタルデータを治療とは別の目的で活用することで健常者よりも高いパフォーマンスを出した時、「患者」という概念は大きく崩れると我々は予想しています。
本プロジェクトは、患者が病に向き合うことを通じて、人生100年時代の人の生き方を問う社会実験です。
どのようにチャレンジするのか?
糖尿病患者の能力開発を支援するプロダクトのプロトタイプ開発への着手、ならびに、アルゴリズム構築に向けたデータ収集の肝となる患者団体を発足していく予定です。また、この取り組みを通じて、患者の病に対する向かい合い方がどう変化したかを随時検証していきます。
プロジェクト採択第2期(2020年2月〜)
【STEP 1】血糖持続読み取り機のハードウェア/ソフトウェアプロトタイプ制作:済
【STEP 2】患者・健常者の血糖値データを収集:済
【STEP 3】血糖値データの活用メソッドの整理:済
プロジェクト採択第3期(2020年7月〜)
【STEP 4】プロトタイプの小型化ならびにバージョンアップの企画・設計
【STEP 5】大人数の血糖値データの収集ならびに解析
【STEP 6】企業や団体とのタイアップ・提携によるサービス拡大
プロジェクトメンバー
細目 圭佑
吉崎 一海
吉崎 一海
1990年生まれ。株式会社Langerhans取締役CTO。東京工業大学理学部情報科学科首席(優秀学生兼総代)卒、同大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻卒。アクセンチュアなどでエンジニアリングとシステム設計、AI基幹エンジン設計に従事。本プロジェクトではシステム設計及び各種情報の分析を行う。
松崎 裕太
松崎 裕太
1992年生まれ。慶應義塾大学SFC研究所 所員。在学中に神経科学の研究を行いながら、ソーシャルイノベーションについて学ぶ。それらの知見を活かし、医療系の一般社団法人の立ち上げ、教育系NPOにて中学・高校・大学へ授業の設計、自治体と共同で教育施設の立ち上げなどに従事。現在も、社会的インパクトを創出するプロジェクトの戦略設計・ブランド構築に携わる。
鈴木アレン啓太
鈴木アレン啓太
1992年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部 (SFC) 卒。 株式会社Apollo代表取締役CEO。新卒でMicrosoftに入社後、スタートアップ複数社にてCTO、株式会社リクルート HR を兼任し、現職。 プロダクトフェーズに併せた技術設計、データ戦略立案、データ基盤構築、アプリケーション開発や、IT人材における組織設計、人材評価設計、人材配置に強みを持つ。
丸山亜由美
丸山亜由美
トリプル・リガーズ合同会社代表。2011年北⾥⼤学医療検査科卒業後、新卒でロシュ・ダイアグノスティックス株式会社⼊社。遺伝⼦研究機器の営業でトップセールスとなり、3年在籍後退職し武蔵野美術⼤学基礎デザイン科⼊学。在学中ケルン国際デザイン⼤学に交換留学。2018年3⽉同⼤学卒業。同年12⽉「Tokyo Startup Gateway 2018」(東京都)優秀賞、2019年1⽉「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019」(経産省)優秀賞。同年3⽉トリプル・リガーズ合同会社設⽴(ヘルスケアにおけるデザイン制作事業)。
吉岡 賢史
吉岡 賢史
1992年生まれ。武蔵大学経済学部金融学科卒。某大手ITコンサルティング会社でシステム開発、テクノロジーコンサルティング業務に従事。2019年にソフトウェア開発の株式会社Beegalを細目と創業、代表を務める。本プロジェクトではシステム開発やシステムデザインを担う。
孫 智
孫 智
1993年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部開放環境科学専攻卒。某大手証券会社の投資銀行部門でM&A及びIPO支援に従事。中国語と日本語を扱うバイリンガル。本プロジェクトでは国内外のマーケット調査、海外展開を担う。
応援コメント
リーダーインタビュー
あなたの[問い]は、どのような未知の価値に繋がると考えますか?
「患者は健常者を超えられるか?」という抽象度の高い問いを設定した背景には、糖尿病に限らず様々な当事者に共感をもってもらい自分事として考えてもらうことで、想像もできないような解を導きたいという遊び心があります。「糖尿病の次の病だったら我こそは!」という方にバトンを渡せる日を楽しみにしています。様々な病で治療法のアップデートをしていった先に、「患者」という概念はどうなっているのか、人の生き方にはどんな彩りがあるのか、想像するだけでワクワクしますね。 誰しもコンプレックスやハンディキャップは何かしらあるものですが、ちょっとした頑張りや些細なアイディアで自分にとって特別な個性や強みに変換できた時の目の前に拡がる新しい世界はなかなか格別です。
あなたの「問いの感性」は、どのような経験を通じて育まれましたか?
当事者としての経験がプロジェクトのきっかけであり、推進力になっています。20歳の時に不治の1型糖尿病を発症し、1日数回のインスリン注射を行わなければ生きていけない状況になりました。不平不満を口にしても、根本的には何も変わらないことを認識し、自ら課題解決に着手したいと思うようになりました。世の中の全ての食べ物の糖質量を暗記し適切な血糖値コントロールを行う技術を身につけ、健常者と変わらない生活水準を達成できるようになり、患者個人としての課題は解決しました。しかし、患者全般・病そのものにおける、身体的・経済的・精神的な課題はまだまだ顕在化しており、その根本は「いかに患者が病に向き合うか」という極めてシンプルな問いと結びついていることに気がつきました。世界中に4億人以上の患者がいて、日本でも国家課題になっている糖尿病領域に当事者という武器を持って挑めることはある意味でラッキーですよね(笑)。
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