知的障害者のファッションセンスを磨いたら、生き方の選択肢は増えるのか?

プロジェクト名 SAFEID
#知的障害#福祉#療育#ファッション
知的障害者の多くは、生活の選択肢が少ないため、妥協しながら生きている。しかし、その痛みに誰も気づいていない。だから、ファッションを切り口に彼らの生活の選択肢を広げていく。身体的なハンデと知的のハンデ両方に働きかける服を開発し、「普通に服を買って、普通にオシャレをして、普通にお出かけする」を叶えたい。自ら選ぶという成功体験を通して、知的障害者と一般社会をつなげ、本質的なインクルーシブを体現する。そのために、知的障害者のファッション改革を掲げ、療育や当事者家族の支援を取り入れた新たなアパレルを展開していく。

何にチャレンジするのか?

知的障害者のファッション改革に挑戦します。知的障害者が機能性を優先しておしゃれを妥協することなく着用できる服を作ることで、当事者自ら選択するという行為を生み出します。選ぶという行為を通して、ファッションセンスを磨き、自分を表現することで、彼らの社会参画を促し、本質的なインクルーシブ社会を実現していきます。

instagram: https://www.instagram.com/safeid__
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なぜチャレンジするのか?

機能性を優先してオシャレを妥協している知的障害を持つ方がたくさんいるからです。知的障害を持つ当事者やその支援者50名にインタビューをしたところ、支援者が服を選んでいる家庭は63.7%いました。
親が服を選ぶ過程は5つに分けられます。まず、サイズアウトして着られない服を探し、買い物に出かける。次に、サイズや気に入りそうな素材があるか、ボタンや紐など1人で着ずらいデザインではないかを確認し、その中で、子供が好きそうなものを選ぶ。家に帰って子供が気に入る素材かどうか、サイズ感はどうか確認する。そして、必要に応じて、着やすいように服をリメイクする。服を選ぶだけで、大変な時間と労力がかかっています。そこで、この日常的な支援者の負担を当事者の療育の一部とすることで、これらの行為に新しい価値をつけていきます。

どのようにチャレンジするのか?

7月:デザイナーや服飾関係者、セラピストなどの福祉関係者といった事業に加わってくれる仲間を探し、本格的にプロトタイプの制作を始める。
8月:付け襟のような小物として使えるよだれ掛けとタンクトップ・カーディガンのセットのプロトタイプを制作。

涎掛けの特徴は、大人になってつけていても違和感のない小物ようなデザインで、食べこぼしやよだれが垂れても染みない素材を使い、拭き取ればすぐに汚れが取れる構造を考えている。表とうら、前と後ろがわかりやすいデザインにし、当事者1人でも簡単に着ることができるデザインにする。

タンクトップとカーディガンのセットは、デコルテが見える女性らしい服や少しデザイン性のある、ボディーラインの見える服を着たいという当事者のニーズに答える。お腹や腕、口の下といった汚れる部分を汚れの目立つ部分を撥水素材にし、なで肩や猫背でもカーディガンが落ちない構造にする。またリバーシブルで着用できるようにし、前と後ろどちら側で着ても成り立つデザインにする。

9月〜:クラウドファンディングを行う。リターンとしてそれらを配布し、また、知的障害者が集まるイベントや施設に配って意見をもらい、改良する。
また、ポップアップイベントを開催し、当事者と支援者向けにワークショップを開催する。

プロジェクトメンバー

加藤海凪

代表・プロジェクトマネージャー

加藤海凪

代表・プロジェクトマネージャー

明治大学政治経済学部地域行政学科。
名古屋出身。
ウィリアムズ症候群という知的障害を持つ弟がおり、中学時代から知的障害者向けイベントにボランティアとして参加。
ワークショップイベント「理想の服を作ろう」をウィリアムズ症候群の団体、エルフィンの合宿にて開催。知的障害者向けアパレルブランド立ち上げと商品販売に向けて活動中。

松本ゆず紀

プロジェクトメンバー

松本ゆず紀

プロジェクトメンバー

立命館大学産業社会学部現代社会学科。
服薬で辛い思いをしている子供達に向け、「服薬補助ゼリーガチャ」企画を考案。
カプセルの中に入っている「服薬補助ゼリー」・「食べられるスプーン」・「持ち運びできる器」を企業と連携しながら開発を行なっている。
病時のくすりの飲みやすさを向上させ、子どもと両親共に嬉しい機能とデザイン性を織り込む。

応援コメント

障碍者の方の衣服は、機能だけあればよいわけではありません。
そしてファッションは着る方の気持ちを明るくするだけでなく、
インクルーシブな社会の醸成にもつながります。
このプロジェクトには社会を変える力があります。
是非大きなビジョンで頑張ってください。
慶應義塾大学理工学部機械工学科 教授三木則尚

リーダーインタビュー

あなたの[問い]は、どのような未知の価値に繋がると考えますか?

「障害を個性として受け入れる」
これは本当に善いことなのか?
知的障害という肩書は、「普通の人」と区別されています。
知的障害を持つ弟は、ある日、「僕は普通の子じゃないから」と呟いきました。私も、「普通の弟だったらよかったのに」と考えたことがあります。他人からの目を気にして、内向的になる人は少なくありません。
そして、社会に参画して行くのは、知的の遅れがなく、自分の主張をすることができる、身体障害者が多いです。彼らが認められ、活躍していることは、多様性のある社会を築くために必要ですが、多様性の枠に入らない知的障害者がいることも事実です。
だから私は、健常者が抱く知的障害者への認識と障害者の実態をつなぐ役割をします。健常者の価値観で、知的障害を個性として身勝手に受け入れてしまうのではなく、お互いが対等な立場で関わる社会を創出したいです。そして、知的障害者が普通におしゃれを楽しめる環境を作ることで、「あのオシャレな人、知的障害なんだって!」という新たな価値を生み出そうとしています。この価値観が広まれば、彼らが自分自身を肯定することができ、社会に参画していく後押しになるはずです。

あなたの「問いの感性」は、どのような経験を通じて育まれましたか?

私の弟は知的障害を抱えていて、母は福祉系の会社で働いています。そこから、知的障害者の服装に関わるプロジェクトを思いつきました。
私は、昔から服が好きだったため、当たり前に自分で服を選んでいました。しかし弟は、毎日母が選んだ服を着ており、私は違和感を抱いていました。実は、弟をはじめとする知的障害者は、猫背や低身長、なで肩、感覚過敏などの身体的特徴と、服の前後・表裏を正しく判断することができない、上下柄物を選んでしまい自分でコーデを決めることができない、などの知的の遅れが原因で、例え興味があっても自らオシャレをする機会がなかったのです。母が弟の服を選ぶとき、デザイン性よりも、サイズ感や着用の簡単さ、素材を優先していました。私は、サイズや素材が多少気に入らなくても、デザインを決め手に購入していたため、正反対な選び方をしていることに驚きました。
そこで、現存する障害者ファッションについて調べてみたところ、ほとんどが身体障害者を対象としており、啓発活動のためファッションショーでの着用を目的としている服ばかりでした。ライフスタイルに合った、普段使いできる商品はみつからなかったのです。
そして、私が「イケてる」「オシャレ」「かっこいい」と思う人は健常者ばかりで、障がい者に憧れるという価値観が存在してもいいのではないかと考えるようになりました。これをきっかけに、知的障害者向けの服を展開するブランドを立ち上げたいと思い、株式会社On-Coの協力でミシンや布を集め、小物として使えるよだれ掛けを自主制作し始めました。その頃から、本格的にアパレルを展開したいという思いが大きくなり、新たな知的障害のファッションの形を追求しています。

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