「自社だけで考えていると、いつの間にか同じ発想に戻ってしまう」
「他社と共創したいけれど、何から始めればいいかわからない」
新規事業や企画に取り組むなかで、そんな壁にぶつかることはないでしょうか。SHIBUYA QWSで行われている「Question Storming(クエスチョン・ストーミング)」は、企業・大学・自治体が抱える、まだ答えのない課題やアイデアをQWSに持ち込み、多様な参加者とともに「問い」から考え直すプログラムです。
今回テーマを持ち込んだのは、東京外国語大学とエスビー食品株式会社。始まりは、一つの具体的なアイデアでした。
「スパイスのイベントをやりませんか?」から始まった共創
きっかけは、QWS会員が利用する「共創ポータル」。
東京外国語大学からエスビー食品へ、こんな提案が届きました。「外語祭では約30地域の料理を楽しむ文化があり、海外に関心のある学生も多い。学内や大学寮で、エスビー食品の『オリジナルスパイス創造体験』イベントを実施できないか」最初は「大学でイベントを開催する」という具体的なアイデアでした。しかし、両者がせっかく出会ったのであれば、一度イベントという“答え”から離れてみる。
言語や文化について深い知見を持つ東京外国語大学と、100年以上にわたり食文化に向き合ってきたエスビー食品。それぞれの強みを掛け合わせたら、もっと大きな可能性があるのではないか。対話を重ねるなかで生まれたのが、「おいしいが国境を越えた世界とは?」という問いでした。

答えを出す前に、みんなで「問い」を増やしてみる
Question Stormingの4つのステップ
Question Stormingは、約3時間で「問いを広げる」ことから「事業アイデアを形にする」までを体験するプログラムです。
STEP 1|問いを共有する
企業・大学・自治体が持ち込んだテーマを参加者全員で共有。異なる専門性や経験を持つメンバーが、同じ問いに向き合います。
STEP 2|問いを発散する
思いつく問いを付箋に書き出し、さらに「問い返し」を重ねながら、自分たちの思い込みや固定観念を見つめ直します。
STEP 3|問いを磨く
他チームの問いを見て回り、気になった問いに投票。対話を通して、本当に探究したい問いを見つけていきます。
STEP 4|アイデアを形にする
磨き上げた問いに、企業や参加者それぞれの強みを掛け合わせ、事業アイデアとして具体化します。
Question Storming当日は、大学生、企業の新規事業担当者、研究者、経営者、コミュニケーターなど、普段は異なる場所で活動するメンバーが集まりました。
最初に行ったのは、アイデアを出すことではありません。テーマから思いつく「問い」を、とにかくたくさん書き出します。そして「どう解決する?」と答えを急ぐのではなく、
「なぜ、その言葉を選んだのか?」
「そもそも、それは本当に問題なのか?」
「自分たちは何を“当たり前”だと思っているのか?」
と、問いに対してさらに問いを重ねていきます。
その後、参加者は他チームの問いを見て回り、自分が気になった問いに投票。「なぜこの問いに惹かれたのか」を対話しながら、それぞれのチームが本当に探究したい問いを絞り込んでいきました。

前提を疑う「問い返し」の付箋が飛び交うクエスチョン・ストーミング
「おいしい」から、ここまで違う事業アイデアが生まれた
面白いのは、全チームが同じ問いからスタートしたにもかかわらず、たどり着いた場所がまったく違ったことです。
- 食の記憶を届ける「レトルト食卓」
あるチームが注目したのは、「食の記憶」。
「味覚だけでなく、空間や人と過ごした思い出を、時空を超えて保存・再現できないか?」という問いから、食だけでなく文章・写真・動画・音声・会話までを一緒にパッケージし、未来や遠く離れた人へ“食卓の空気”ごと届ける「レトルト食卓」というアイデアが生まれました。
- 未知の味覚と出会う「一番遠い料理」
「自分から最も遠いおいしさ」に着目。自分の食の好みを分析し、安心と冒険の境界にある未知の料理を提案する「一番遠い料理」というサービスを構想しました。
- 日本のおいしさを世界に届けるアイデア
「日本で感じたおいしさを、自国の家族や友人にも伝えたくなるには?」という問いから、日本の味を持ち帰り、再現・共有できる商品とキャラクターを組み合わせたアイデアも生まれました。
ここで重要なのは、3時間で完成した事業計画をつくることではありません。問いを変えると、見えてくる事業の可能性も変わる。そのプロセスそのものを体験することがQuestion Stormingの目的です。

自社の課題を、一度QWSに置いてみる
テーマオーナーとなったエスビー食品からは、当初「多様な人々にテーマを投げて、本当に何が得られるのだろう」という戸惑いもあったといいます。
しかし、他者の視点によってテーマが次々と解体されるなかで、
「自分たちが今取り組もうとしている課題は、本当に正しいのか?」
と原点に立ち返る機会になりました。
企業の中には、たくさんの知見があります。一方で、同じ組織、同じ業界、同じ前提のなかで考え続けているからこそ、見えなくなってしまうものもあります。QWSには、企業、大学、スタートアップ、学生、研究者、クリエイターなど、異なる専門性や価値観を持った人たちが集まっています。
完成された事業企画を持ってくる必要はありません。
「こんなことが気になっている」
「この事業を次にどう進めればいいかわからない」
「そもそも、この課題設定で合っているのだろうか」
そんな“未完成な問い”こそ、QWSに持ち込むことができます。
異分野の視点を借りて前提を問い直し、真に解くべき課題を見つけ、自社の強みと掛け合わせて次のアイデアへ進む。今回のQuestion Stormingは、そんなQWSならではの共創の一つの形となりました。

対話のなかで自社の問いの変化に耳を傾けるテーマオーナー
あなたの会社の「未完成な問い」も、QWSへ
SHIBUYA QWSでは、事業課題やまだ言葉になりきっていないモヤモヤを持ち込み、異分野の人々とともに問い直したい企業・自治体・大学を募集しています。
Question Stormingは主に毎月第2金曜日、SHIBUYA QWSで開催しています。新規事業、研究開発、組織課題、社会課題など、テーマは問いません。答えが決まっていないからこそ、QWSに持ってきてください。そこから、思いもしなかった人との出会いや、新しい事業の入口が生まれるかもしれません。
