「未知の価値に挑戦するプロジェクト」を推進するプログラム「QWSチャレンジ」。2019年11年〜2020年1月の3カ月のチャレンジ期間を通して、プロジェクトチームが抱く“問い”はどのように磨かれ変化していくのでしょうか。今回は、「ぎじゅつは、わが子のために。」をテーマにものづくりに取り組むお父さんプロジェクト「はっきんぐパパ」の三浦慎也さんに、9つの質問に答えてもらい、QWSチャレンジについて振り返ってもらいました。
ライティング/長谷川菜月 編集/渡辺舞子
1.どういうきっかけでSHIBUYA QWSを知りましたか?
ワークショップに参加した時に、ロフトワークの方に紹介していただきました。
2.『QWSチャレンジ』に応募することを決めた理由はなんでしたか?
僕たちはものづくりが好きなパパが有志で集まったチームで、常に場所の課題を抱えていました。QWSチャレンジに採択されれば、渋谷で環境が良い場所を無料で使えるっていうことが一番の理由でしたね。
QWSのスタッフさんとも話しているなかで、法人でなくても、僕たちのような個人で集まったチームでもいいんだと分かったこともあるかな。あとは、ものづくり機器もあるっていうのもポイントでした。
3.具体的にどんな活動を行いましたか?
最終的なアウトプットとしては、作品が新しく2つ。QWSの「問い」に感化されて、子どもの問いを集めるサービスと、撮ったらその場でぬりえになって出てくる魔法のカメラ『ぬりカメ』を作りました。これは採択されたあとにアイディエーションから全部やったので、QWSでゼロから生まれたプロダクトですね。並行して、既存のぶうびんポストのキャンペーンも運営していました。
4.実際に参加して、良かったことはなんですか?
「この活動はどこに向かっていくんだろう」ということを考える機会になったっていうのが一番大きかったのかなと思います。
僕たちは趣味でやっていて、この活動がどこに向かっていくんだろうということはあまり考えていなかったんですが、QWSコモンズで株式会社スマイルズ代表取締役社長の遠山正道さんに「これって子どもが小さい時の限られた期間、いわゆる”パパのキラキラ期”だから楽しいんだよね」って言われた瞬間に、ハッとしました。だらだらしてたらだめだ、次の世代に引き継ぐためにこの活動自体のビジョンをちゃんと作っていかないとな、と思いました。
個人的には、自分たちの活動を見直せたことは、新作が生まれたことよりもかなり意味があったのかなと思います。今まで作品を通してでしかフィードバックを受けたことがなかったので、色んな人に話すことによって活動自体へのフィードバックがもらえたり、出会いがあったのは良かったです。
5.自分のプロジェクトがどうして採択されたと思いますか?
問いとしては、「父親が自分の子供の未来に対してできることは何か?」を掲げていたんですが、実はみんなそういうことを思っていたんじゃないですかね。子どもに何かしないとなと思いつつ、「仕事をしてお金を稼ぐ」っていうことしか手段がなかったところに、何か気付きを与えられるような問いだったんじゃないかな。
というのと、そもそも僕らの活動自体が問いだった、という気もするんです。審査員が「ちょっと見てみたい」「こいつらどうなるか見てみたい」という興味が大きかったんじゃないかなと思います。まだアイディアもない、何作るかも分からない。その辺の余白があったのかな?
6.『QWSチャレンジ』にはどんな人が集まっていると思いますか?
ビジネスとか全く考えてない人が多い(笑)。「どこを目指して、どうやってお金を稼ぐか」を考えているプロジェクトではなくても、肯定されて活動できるっていうことは嬉しいし、QWSチャレンジにはそういう人達が集まっている気がします。僕たちは少なくともそうでしたね。ビジネスチャンスを見つけようとはしていませんでした。
7.『QWSチャレンジ』を一言でオススメするとしたら、なんと言いますか?その理由は?
色んな人との出会いを通して自分のプロジェクト自体を見つめ直せるんじゃないかなと思います。QWSチャレンジを一言で言うと、「自分達を問う場所」。
8.活動する中で「問い」は変化しましたか?
問いは変化しました。「父親が子どもたちのために何ができるか」だったのが、「父親自体が面白いと世の中に思ってもらうにはどうしたらいいか」や「世の中の父親がもっとワクワクするようになるには」っていう方向に変わりました。
きっかけとなったのはQWSステージでしたね。色んな人に見せて、反応を聞いて。メンバーからも「来場していた学生の子から、『子ども欲しくなりました』と言ってもらえたのがすごい良かった」って聞いて。このあたりから、物だけよりも色んなこと発信していきたいよねってみんなが言い始めていました。
9.『QWSチャレンジ』を経て、これから社会に起こしたいムーブメントはありますか?
二つあるんです。一つは、「個人のものづくり活動で世の中を変えられるんだ」っていう可能性を示したい。みんながそれぞれのことを、積極的にやっていっていいんだってことが、僕らの活動として伝わればいいなと思います。
もう一つは、僕が抱く世の中の父親のイメージって、すごく閉塞的に見えている気がしていて、でも子どもが足枷になっているとは考えたくない。僕自身、娘が生まれた時に芽生えた父性から、創作意欲が喚起されてものづくりをはじめたように、父親になったからこそ生まれるエネルギーがあると思っています。「父親がキラキラ、ワクワクしながら我が子のために面白いものを作っている」という姿を見せることで、各家庭に「お父さんってめっちゃ楽しいよ」っていうことを伝えたい。父親になることの楽しさや子どもがいることの楽しさを、ものづくりを通して伝えられるといいなと思ってます。
三浦 慎也
三浦 慎也
1児の娘のパパであり、はっきんぐパパの発起人。
都内で会社員をやりながら、娘の誕生をきっかけに、娘のためのものづくりに目覚め、プロジェクトを始動。学生時代のソフトウェア開発経験をベースに、日々ものづくりに励む。
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