Question Times スペシャル – QWS FWS 2022 –

QWS FES

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SHIBUYA QWS(以下QWS)には多種多様な業界で活動されている会員の皆さまがいます。
「QWS会員さんにはどんな人がいるんだろう?」「どんな活動をしているのかな?」など思う方も多いのではないでしょうか。

QWSではコミュニケーターがインタビュアーとなって会員紹介を行う「Question Times」というショートインタビューを会員向けに連載しています。

SHIBUYA QWS開業3周年をお祝いする「QWS FES 2022」では「Question Times スペシャル」と題して、3名の会員へ公開インタビューを開催しました。本レポートでは、そのインタビューの様子を特別にお届けします!

 

インタビュアー=中島貴恵、髙木香純 テキスト=髙木香純

今回インタビューした会員:横石崇さん(QWSコモンズ)、髙野洋さん(QWSプロジェクトメンバー)、満永隆哉さん(QWSメンバー)

QWSスタッフ(以下QWS):あなたは何をしている人ですか?

横石崇さん(以下横石さん):……その質問を我々にするのはめちゃくちゃ酷じゃないですか(笑)。僕はシェア型本屋や働き方の祭典など、いろんなところで場づくりとかをやらせてもらっていますが、いまいち自分が何をしているかっていうのは釈然としていないのが本音です。でも、今日の登壇者3人に共通しているのですが、広告というフィールドで働いていたってことなんですよね。

QWS:それ! あとで触れようと思ってました……!

横石さん:すみません、勝手に段取りを進めてしまった(笑)。

で、広告っていう仕事は、今までテレビCMや駅広告みたいに枠があって成り立っていたんですが、インターネットができたりして、枠がなくても成り立つようになったんですよね。そういった意味で、旧態然の業界から足を洗って、「今まで見つかっていなかった価値を再定義したり、新しい関係性を創りだす」仕事をしていると感じています。だから自分を一言で表すとしたら「関係づくり屋さん」かな。で、この三人の中では一番おじさんなので先輩でもあります。

QWS:フィールドがすごく広い、コミュニケーターって感じですね! おふたりはいかがですか?

髙野洋さん(以下髙野さん):「写真家兼代表」って書いているかな。写真は一生やっていこうって自分の軸にしているんですよ。写真をやっていく中で出会った人たちと何かワクワクすることだったり、見つけた問題に向き合ったり、何か自分にできることがあったらやろうと思っていて。

満永隆哉さん(以下満永さん):自分も難しいんですけど、シンプルに言うと「エンターテインメントやアートを、テクノロジーでより新しくハッピーなものにしていく人」とかかな。でもやっていることが増えれば増えるほど、結局肩書きを「〇〇会社 代表」とかでまとめちゃいますね。それ以上のことは話していく中で知ってもらえたらいいかなって。

QWS:まさに、Question Timesのゲストに相応しい方たちですね。「で、結局何をやってる人なんだっけ?」を深ぼるコーナーなので。今日のお話を聞いて、いろんな人に知ってもらえるきっかけにしましょう!

QWS:皆さんがお仕事、活動の中で大切にしていることはなんですか?

横石さん:僕の場合は、「こそだて」って言ってるんですけど。子どもの“子”ではなくて、個人の“個”ですね。渋谷区は「ちがいをちからに変える」という標語を掲げていますが、僕もすごくシンパシーを感じていて、多様な人と多様な力を集めて、何かをこしらえていくところに新しい価値が生まれてくると信じています。だから、渋谷区とは「渋谷スタートアップ大学」をやって起業家を育てたり、ヒカリエに「シェア型書店」をつくってみたり。人々の個性とか情熱とか偏愛を世の中にどんどん発信していくことが、いい世の中を作るきっかけになるんじゃないかなってことで、「個育て」を大事にしています。

髙野さん:今のお話もほんとその通りだなと思うんですけど、自分の場合はいい意味で「自分の欲求に従いたい」と思っています。あまり偽善的な生き方はしたくないんですよね。自分の好きなものの世界を、自分のできる限りで幸せにしていけたらな、という考え方で写真をやっていて。その延長線上に自然だったり、動物だったり、自分のワクワクすることを見つけたときには、とにかくまっすぐ向き合うようにしています。

満永さん:自分の好きだったアートやカルチャーを一生懸命やっていると、自ずと自分の好きが集まって、そういうお仕事をもらえるようになる気がします。広告クリエイティブをやっていたときと一番違うなと思うのは、自分の好きを主軸にできるようになったってことなんですよね。自分が何に軸を置くかによって頼まれることとかも変わってくるので、自分のやりたいことをやる、そういうスタンスは大事にしています。

QWSコモンズ/横石崇さん

QWS:QWSで磨きたい問いはなんですか?

満永さん:「日本のエンタメとかアートがどうやったらもっと豊かになるのか」っていう問いですかね。日本だと、エンタメ・アートで食べていける人って本当に少なくて。ニューヨークってパフォーマーが地下鉄にたくさんいるんですけど、あれってメトロが自分達の駅の治安を良くするためにオーディションしてやってもらってるんですよ! 

日本でも例えばメトロさんとか、JRさんが駅を盛り上げるためにオーディションしてるような時代、来ないかなって。そのためには自分がパフォーマーとしていくら上手くなってもダメだと思っています。キャリアを積んで、企業さんとか街とかと繋がってお仕事していきたいと思って、QWSに通い始めました。

髙野さん:僕はQWSでは「旅するstudio & cafe」、「wizoo」という2つのプロジェクトをやっているんですけど、自分の問いってなると「自分にできることってなんだろう」ですかね。技術もそうだしキャパも含めて、今の自分にできることに向き合う、そういうタイミングなのかな。たぶん僕がもうちょっと活動してると、横石さんみたいになれるのかなって。

横石さん:いやいや、十分ですよ! QWSは本当に面白い場所で、いろんな問いを持ってる人が集まるんですよね。問いの精度、解像度とか、本当にいろんな問いの形があるんだなって刺激を受けています。僕はもともと問いがない人間なんですよ。だから問いのない人間にとってはQWSの「問いたてシステム」は「問いハラスメント」です、問いハラ(笑)。

僕の場合は自分で問うというよりも、誰かに言われてハッとすることが多くて。東日本大震災のときに陸前高田の人に「君はもうここに来なくていい。ここにいる子どもたちが大人になるとき、いい社会って思えるような仕事をしてくれ」って言われて、それが人生の問いになったんですよね。だからこそ、働き方の祭典ができました。

自分が問いを持っていなくても、誰かと混ざることで気づくことや問いが変わることがあって、そういうきっかけが大切だなって思います。先輩らしい深イイ話でしょ?

QWS:QWS FESのテーマは「問いとつながる」。冒頭で元広告代理店というお話も出ましたが、話していく中でお互いの共通項だったり、思ったりすることってありましたか?

髙野さん:あらためて、面白い人たちだなってすごく思っています。家で仕事をしていたらもちろん、会社に行っても出会えないような人たちがたくさんいる、違う世界を覗けるみたいな場所だなって。本当にいろんな人と話せるのが楽しくて、QWSに来ると、ついつい雑談もたくさんしちゃいます!

満永さん:居酒屋で出会った人に「あなたの問いは?」って聞いてもあまり広げられないだろうし、怖がられちゃいそうですよね。みんな根底に向き合っている問いがあって、どうやって解決していこう、磨いていこうって考えているからこそ、より繋がれるのかなって思います。

横石さん:QWSを観察していて面白いのは他人の問いって極端な話、関わる必要ないんですよね。でも、コミュニケーターとか事務局の人たちがお節介なんですよ。突然紹介されるんですよね、「こんなことやってる人たちなんですよ」って。で、話してみるとすごく面白かったりして、普通に生きていたら興味の湧かない問いなのに、ふいに触れる新しい視点によくハッとさせられます。おかげで、これまでQWSでいろんな出会いがありました。これを単純に他の共創施設でやろうとコピペしても、同じようにはうまくいかないんじゃないかな。

QWS:そんなQWSをズバリ、ひと言で表すと?

満永さん:自分にとっては「問いを整理する場所」。渋谷っていう立地もすごくいいなと思っています。イベントや展示に行って、「どうしてあの人はこんな作品を作ったんだろう」とかのモヤモヤが生まれる。そのモヤモヤを整理したり、企画に起こしたり、その日のうちに昇華させたい。そんなときにすごく立ち寄りやすいし、他の会員さんの考えにも触れられる。そこがすごくいいなと思って通っています!

髙野さん:いろんな言葉が浮かんでどれが正解かわからないんですけど、これからの人生のスタート地点でもあるし、今まで自分が持ってきたものを熟成させてきたような場でもあって。ここにいなかったら、今の自分はなかっただろうなっていうのは間違いないです。新しいものを生んで、さらにいろんな人と話して熟成させていく、そんな場所かな。十何年、心に封印してきたものを今やっと、大手を振って取り組み始めたって感じです!

横石さん:QWSは「常識を疑う」というコンセプトがあるわけですが、そういう意味では「反社会人的」集団ですね(笑)。社会人って言葉にはいろんな意味があると思うんですけど、例えば常識をわきまえて行動できるとか。そういうニュアンスが含まれているのだとしたら、QWSで必要なのは「常識を疑っていこう」って組織カルチャーだと思うんです。その精神が何かしら宿っていないと、新しい面白いことは生まれないし、仲間も集まってこないと思うんですよね。

髙野さんがここにきて落ち着くっていうのは「反社会人的」な要素が宿ってるからなんじゃないかな? 僕もここに来るのが好きだし、どこか安心感を感じているんだと思います。

QWS:今、夢中になっていることはなんですか?

横石さん:主催している「Tokyo Work Design Week」っていう働き方の祭典が、今年で10周年を迎えまして、勤労感謝の日に渋谷の街中で花を配るってイベントをやるんです。それが持ち出しで、結構な金額になるんですね。そこでふと思い出したのが、小さい頃、僕は花屋になりたかったんだよなって。お金はかなりかかったけど、小さい頃の夢を叶えた! みたいな気持ちで花配りに夢中になっています。

髙野さん:一番かっこいい大人の仕事ですね。僕は「旅するスタジオ」っていう移動式編集スタジオをやっているんですけど、「&カフェ」って名前を付けて、カフェを始めたんです。イベントに出店するとそれなりに売れるんですけど、自分の人件費とか考えたらまったくペイしないんですよ。結構疲れるし。でも、自分のやりたいことってなんだろうって考えると「効率だけじゃない世界」があるなと思っています。

今は森林農法で栽培された豆を、焙煎士さんが手廻し焙煎機と黒七輪を使って蒸気熱で焙煎した豆を使わせていただいていて、お店で飲むと1000円以上するものを半額ほどで提供してるんですけど、それをきっかけに写真に興味をもってもらったり、自然について知ってもらうきっかけができればいいかなって。僕の場合、今夢中になってることが仕事になっているのかもしれないです。動物に関わるプロジェクトも含めて、今自分がやっていることって昔から好きなことなのかもしれないです!

横石さん:好きなことしかやってないよね、自分でお金払ってね。

髙野さん:とにかく好きなことやっていくと、そうなるのかもしれないですね。好きなことってひとつじゃないし、子どもの頃って欲張りじゃないですか。それがそのまま大人になったみたいな……。(横石さんを見つめる)

横石さん:僕らは一緒だから! 今日は子どもが3人集まったみたいだね(笑)。

満永さん:巡り巡って、返ってきますよね。僕はもともとバスケットボールが好きで、スラムダンクを読んでいたんですよ。宮城リョータに憧れてドリブルついていたら、バスケのパフォーマーになって、NBAとかでもパフォーマンスさせてもらって。でも1回のパフォーマンスのために、音源作って何日も練習して、正直ペイなんてするわけないんですよね。パフォーマーのギャラなんてじゃぶじゃぶ儲かるものでもないので。

でもパフォーマンスを続けていたら、先日「映画版スラムダンク」の公開イベントにオフィシャルパフォーマーとして呼んでいただいたんですよ! 20年前から熱中していた作品とコラボレーションできるっていう。まったく儲かってはいない話なんですけど、人生ってこういうものだよなってグッときました。どこかで諦めたり、裏方でいいやって思っていたらこんな機会をもらえなかったから、本当に続けてよかったです!

QWS:最後に、好きなことを仕事にするためのコツやアドバイスをお願いします!

満永さん:一回全力でやってみる、に尽きるかな。広告代理店時代はそれなりに業務量があったんですけど、金曜夜から土日は自主制作にあてるって決めていて。有給とかも全部、海外のパフォーマンスと展示に使う、みたいな生活を5年したんですよね。社会人やりながらでも、自分のやりたいことを模索する時間って作れるなって。そういう時間の作り方とか、いろいろ試してみるといいかもしれないですね!

横石さん:僕は自分の能力とか信念とか信用していないので、なりたい人とか、憧れている人の近くにいくようにしています。環境が変わると、ある程度は同化していくと思うんです。自分を変えるのはなかなか難しいけど、環境を変えるのは結構近道かなと。

髙野さん:QWSもね、QWSチャレンジに採択されると3カ月ってリミットが生まれるじゃないですか。そういう意味で少し加速させるというか、ほどよいプレッシャーがかかることで物事が進んだりすることありますよね! 環境って大事だなって自分も思います。

満永さん:3カ月って人が全力でバット振れるちょうど良い期間だと思うんですよね。年に4回本気のフルスイングする、みたいな。そのうち1本いいヒットが出たら嬉しいなって。結構しんどいとも思うんですけど、3カ月走り切るっていいと思う。

髙野さん:3カ月全力でやると、結局次の課題も見えてきますよね!自然と次も次もってうまく転がっていくこともある気がします。最初の3カ月、転がすのが一番しんどいけど。

横石さん:宮崎駿先生の言葉で「アニメを作るのは最初の企画は楽しいけど、残りの制作する期間は『企画の奴隷である』」っていうのがあって。ワクワクすることを思いついちゃったら、あとの何年もそのために走り続けなきゃいけないんです。僕たちもわりとそれに近いですよね。髙野さんも車を作るのが楽しくなっちゃったとか?

髙野さん:思いついたらやりたくて仕方ないけど、技術だったり予算がなかったりって課題はどんどん出てくるから、ひとつひとつクリアしていきます!

横石さん:普通の人はそこで諦めるんだろうね。

満永さん:反社会人なんで、車の奴隷ですね!

髙野さん:まさにね。キッチンカーだけでもメニューとか考えるの大変だから、飲食店やってる人とか本当すごいなって思うんですよね。オープンまではいいかもだけど、オープンしたあとのほうがお金の計算とか、オペレーション考えたりとか、大変だと思うんですよね。

QWS:QWSもどうやって人をつなぐのか、オペレーションはどうするのか、スタッフの教育はどうするのか……などなど試行錯誤しながらの3年間だったので「動き出すと大変」っていうのは、すごく頷きました。でも皆さんがたくさんQWSを語ってくれて、「ここに来ると頑張れる」って言ってもらえるような場所になったんだなって嬉しかったです!

たくさん大変なこともあったけど、こうして3年目に楽しい企画に携われたり、嬉しい言葉をもらえて良かったです。皆さんありがとうございました!

いかがでしたでしょうか?

肩書きの先にある皆さんのお仕事への情熱やこだわり、パーソナルなお話しも深ぼることができて、とても楽しい公開インタビューの時間でした。QWSには今回インタビューした3名をはじめ、「問い」と向き合い活動する、多種多様なプロジェクト・企業・個人が集まっています。入会についてはこちらをご覧ください。

 

横石 崇

&Co.,Ltd.代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー

横石 崇

&Co.,Ltd.代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー

1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に&Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ3万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。

髙野 洋

株式会社SHINME代表/写真家

髙野 洋

株式会社SHINME代表/写真家

自然写真家として活動し、土地に由来したマテリアルと写真を融合させて自然写真作品の制作を行う。”旅するスタジオ&カフェ”や、自然や動物に向き合うサービス/商品の開発をしながら、クリエイターとして広告写真/映像制作/デザインも手掛ける。世界一周バックパッカー・ドローンパイロット。

満永 隆哉

株式会社HYTEK 代表取締役 / ディレクター / アーティスト

満永 隆哉

株式会社HYTEK 代表取締役 / ディレクター / アーティスト

千葉県出身。12歳の時に訪れた海浜幕張駅前のストリートバスケットボールコートにて、パフォーマンスカルチャーと出会い影響を受ける。慶應大学進学後休学し渡米、国内外でのパフォーマー生活を経て2015年に広告代理店に入社。平日はクリエイティブ職として制作業務に従事し、金曜深夜から休日はパフォーミングアーティスト兼演出家として活動する5年の二重生活の後、テックエンタメレーベルHYTEK Inc.を創業。NBA公式戦、America’s Got Talent Season17、TEDxなど国内外のステージに出演歴がある。

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