私たちのふるまいはどうやって作られたのか?

プロジェクト名 ビヘイビアプロジェクト
私たちが日常何気なく行っている「ふるまい」に焦点をあて、ふるまいの成り立ちとこれからを探る実験的プロジェクトです。日中韓の3カ国から、身体表現の専門家であるダンサーを2人ずつプロジェクトに招き、計6人のダンサーと共に東京/北京/ソウルに訪問滞在。ショッピングセンターやオフィス街など様々な場所で、都市に暮らす人たちのふるまいをフィールドワークします。そして、歴史学者・経済学者・デザイナー、社会学者など、ふるまいに関連する様々なプロフェッショナルの協力を得ながら、ふるまいの成り立ちとこれからについて分析、その活動内容を記事やドキュメンタリー番組として配信します。そして2025年2月には、ダンサー1人ひとりがこうありたいと思える新たな「ふるまい」を展示/パフォーマンスとして発表。またそうした問いかけを起点に、企業や行政などと協働しながら、社会のふるまいを自分たちの意思で再設計する活動を行います。

何にチャレンジするのか?

私たちは、これまでの社会で「当たり前」だと考えられてきた常識や習慣の中で暮らしています。私も子どもの頃に、男性は/女性はこうあるべきだとか、親や先輩の言うことは絶対だ、などと言われたことがあります。でもそうした習慣は、その時代に生きる人たちがこうありたいと願う社会のあり方によって、変わっていくべきものだと考えます。いま社会で問題とされている様々なハラスメント、ジャニーズや宝塚に象徴されるような集団内での人間関係もまた、数十年前までは「当たり前」のこととして扱われ、集団内でのストレスに耐えながら生き抜いてきた人たちの慣習が、今の時代の価値観と衝突することで問題化してきたように感じます。

ふるまいは、私たちが毎日「当たり前」のように行っている行動です。上司の前でどうふるまうか、親や子どもに対してどうふるまうか、その1つひとつは日常の些細なことかもしれないけれど、今の社会のあり方を体現している瞬間でもあります。どうふるまうか、それはとても社会的な判断の連続です。「私たちはなぜそうふるまうのか?」「私たちは自分たちのふるまいを自らの力で変えられるのか?」という問いは、自分たちがこうありたいと願う社会を「再設計」するための原動力になるのだと考えています。

私たちは、民主主義の社会に暮らしています。1人ひとりが社会のあり方を考えて議論し、これまでの常識や習慣を再考して、こうありたいと思う社会の実現に向けてこれまでの常識や習慣を「再設計」できるようになることが、より良い社会の実現にとって重要だと考えます。政治家や経営者が大きな仕組みを変えることも「再設計」の1つですが、私たち1人ひとりの日々の暮らしの積み重ねが、結果として社会を構成しているという意味では、私たちの日頃の「ふるまい」を変えていくことも、ひいては大きな社会の変化につながっていくと考えています。

ビヘイビアプロジェクトが掲げる問いを通じて多くの人たちが、日常のふるまいや、これまでの常識や習慣に疑問を持ち、また具体的なアクションを通じて日々のふるまいが少しずつ変わっていくようなプロジェクトにすることで、未来の社会を生み出す価値ある活動になると考えています。

なぜチャレンジするのか?

ふるまいは、様々な分野に関連するテーマなので、自分が普段一緒に仕事をする人たちとは違う、様々な分野の人と出会ってこのプロジェクトを一緒に進めたいと考えたからです。QWSには、企業・行政・教育研究機関・起業家など、様々な分野の人たちが集っています。QWSは以前、知り合いが主催するイベントに参加した際に足を運んだことがありましたが、昨月改めて見学させていただいて、オープンで活気あるコミュニティだと感じました。ここでプロジェクトを進めたら、きっと何か良い出会いや、自分がこれまで思いもよらなかった良い展開があるんじゃないかと感じています。

ビヘイビアプロジェクトはもともと、東京オリンピックの文化プログラムに採択されたアートプロジェクトとして走り出したのですが、私は、アートや舞台芸術は、美術館や劇場だけで完結するものではなく、日々の生活の中にこそアートやダンスがあると感じていて、だからこそ「ふるまい」という日常の何気ない身体表現に興味を持っていました。そういう意味で、アートプロジェクトだから展示やパフォーマンスを発表して終了という形ではなく、それらの作品表現が問題提起となり、そこから実際に社会のふるまいをどう変えていけるのか、というアクションが生まれることが、このプロジェクトとして意味があると思っています。例えば、駅やショッピングセンターの来場者のふるまいを如何に変えられるか、とか、企業で働く人たちのふるまいを変えることで企業文化をどう変えていくか、など、ふるまいを変革させる具体的なアクションが生まれることで、今度はその記録がドキュメンタリー映像作品になり、それがまた問題提起となって次のアクションを生み出し、それがまた作品表現になる。そうやってアートとデザインが行き来する中で、今の社会のことを深く考えたり、これからの社会を少しずつ変えていくような活動が、QWSならできるかもしれない、という可能性を感じています。

どのようにチャレンジするのか?

<2月>
◇キックオフイベント
現在のプロジェクトメンバーが集まり、QWSのコミュニティと外部に向けて、プロジェクト内容を紹介するイベントを開催します。ふるまいというテーマに興味を持つ人たちと出会うと共に、ふるまいというテーマが様々な分野とどのように関連しているかを参加者と議論します。

◇アウトリーチ
QWSのコミュニケーターに相談して、ふるまいというテーマに興味を持ちそうな方々をご紹介いただき、様々な分野の研究者や実践者と出会い、ふるまいというテーマの持つ可能性を拡げます。スクランブルミーティングのメンタリングを活用して、テーマに興味を持つ方々の紹介やプロジェクトを継続的な活動にしていくためのアドバイスをいただきます。

<3月>
◇プロジェクト展開の検討・情報発信
様々な分野の研究者や専門家と、ふるまいについてのディスカッションを行います。ふるまいの成り立ちや、ふるまいを変えることが社会にとってどのようなインパクトがあるのか、様々な専門的視点から議論を進めます。ディスカッションの内容は映像や記事の形にしてウェブサイトから情報発信し、テーマに関心のある人たちとのつながりを拡げます。

<4月>
◇ローンチイベント
QWSでの3ヶ月の活動を通じて出会った様々な分野の研究者や実践者を招いてイベントを開催。日常の中で疑問に思うふるまいや、変えたいと思うふるまいを持ち寄り、そのふるまいがどう成り立ったのか、どう変えていけるのかについて、領域横断的な議論や実験を行います。また6-8月に予定されている、東京・北京・ソウルでのフィールドワークの紹介や、そこで収集したふるまいについてどのような分析が可能かについて議論を行い、次の活動につなげます。

◇アクションの開始
企業や行政など「ふるまい」を変えることに興味を持つアクターと一緒に、ふるまいのリサーチや変革を目指すスピンオフのアクションを開始。ビヘイビアプロジェクトの継続的な活動を生み出します。

中澤 大輔

アーティスト、デザイナー、物語活動家

中澤 大輔

アーティスト、デザイナー、物語活動家

人や場所、社会や習慣といった私たちの日常の背後に潜む小さな物語に耳を傾け、収集された物語を再構成することで、新たな物語を生み出すことに焦点を置いた活動を行っている。演劇・建築・文化人類学の手法を用いて、人々が参加し体感しながら、オルタナティブなものごとの見方を発見するための体験型アート作品や、サービスデザインなどの設計の仕事を行っている。

https://architectingstories.com

岩中 可南子

アートマネージャー/コーディネーター/編集者

岩中 可南子

アートマネージャー/コーディネーター/編集者

1981年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科美術史専攻修了。2012年〜2017年まで民間企業が運営するコミュニティ・スペースSHIBAURA HOUSEにてプログラムの企画運営を担当。日常から生まれる表現や、多様な背景をもつ人々やコミュニティとの協働作業を通した表現活動に関心を持ち、現在フリーランスでアートプロジェクトの運営やパフォーミングアーツの制作、編集などを行う。

元行 まみ

アートマネージャー/ライター/エディター

元行 まみ

アートマネージャー/ライター/エディター

学生時代に建築を学ぶものの、空間そのもの以上にその場から生まれる人の関係性や活動に興味をもち、コミュニティスペースの運営やアートプロジェクト、パフォーミングアーツなどに携わる。多様な人との出会いによって、新たなアイデアや問いが紡ぎ出される機会を求めて日々研究中。

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