「日本の教室はなぜ150年間変わらないのか」コーポレートインタビュー・日立アカデミー

インタビュー

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SHIBUYA QWSは新しい価値創造に挑戦するさまざまな会員の方々が集まっています。今回は、HITACHI(日立)のIT技術に裏付けられたノウハウをもとに、幅広い分野のスキル研修・人財育成のコンサルティング・研修運営・ナレッジマネジメント支援を提供している「株式会社日立アカデミー」の花松甲貴さん、出口善之さんに、SHIBUYA QWSを拠点として選んだ理由と、ここで見つけた可能性についてお話をお聞きしました。
※記事中の部署は取材当時のもの

テキスト=渡辺舞子、写真=中島貴恵・渡辺舞子

1.SHIBUYA QWSを何で知りましたか?

花松甲貴さん(以下、花松)NewsPicksでQWS館長の野村さんのインタビュー記事を拝見して、「面白そう!」と可能性をビビッと感じました。(Newspicks 「【QWSオープン】論理から感性の時代へ。新たな「問い」は、あなたの近くにある」https://newspicks.com/news/4121206/ )

出口善之さん(以下、出口)ちょうど記事が出るタイミングで日立グループ内にある教育部門が再編されたんです。会社のありたい姿を考えて、個人も今までの延長線上の学びでは足りないんだなと感じていたので、新しい学びの提供や社員のモチベーションにどうアプローチをすればいいか模索していました。加えて、これまでにはない変化を生み出すなら、社内にとどまるよりも外と繋がりたいと思い、何かいい方法がないか考えていました。そんな時に、会社から「花松・出口に100万円ずつ渡すので新しいことを考えよ」という少し振り切った課題が出たんです。そしたら花松さんが「QWSというゼロイチの施設ができるから、ここで新しい繋がりが生まれるんじゃないか」と言い出したんです。僕もいいなと思い、すぐに会社に提案をして、ものすごい勢いで11月に向けて稟議を通しました。

 

2.『QWSコーポレートメンバー』への入会を決めた理由は何でしたか?

花松:出口とまずQWSのポジショニングについて話しました。貸会議室やシェアオフィスでは、ただ仕事を別の場所でやるだけになり、知識の流動性が高くない。かと言って、カフェやオープンスペースだと情報だだ漏れだし、新しい知の追跡ができないよねって話になって。QWSはセキュリティが担保されつつ、色々な知識が流動する場所なので、ぴったりだなと。

出口:「ゼロイチを生む」に加え、実際見学させてもらった際にQWSという場は「まだ完成形ではない」という説明、解釈も魅力でした。僕らがここに来る理由のひとつとして、可能性を探るために来ているので、すでにあるものではなく“未来に何か新しい価値を生み出そうと活動していく人が集まっている”という場の状態そのものが魅力と感じました。

花松:また、個人的な問いなんですが、以前から「なぜ150年間日本の教室は変わらないのか?」と違和感を持っていました。同じような箱に同じような人が集まって、正しい答えを持っている先生がいて、黒板に書かれた字をみんながノートにとる…こんな学習スタイルは辞めたいと。弊社内でも議論が始まっていて、「これからはもっとオープンイノベーティブな形で、外部との接触や新しい知識を生み出すような世界が生まれないと学校はだめになる。教室の壁を壊して、デジタルに置き換えられるものは置き換える。もっとゲームような“のめり込む学び”に変えなきゃ」と話していて。その想いとQWSが持つイメージの重なる部分を感じ取ったから、QWSを拠点にすることを会社が承諾したのではと思っています。

3.どのような課題を持ってQWSに入会しましたか?

花松:私にはデジタルトランスフォーメーション(DX)をけん引するリーダーを作るというミッションがあったので、一緒に手を組んでくれる人を発掘したいという気持ちがありました。加えて、人材が発掘できたらプログラムを実験的にQWSで試して、フィードバックを得て、ブラッシュアップし会社に持ち帰るまでが課題です。

出口:僕は、今までと違うことをプロジェクトとしてやらなくてはならない時に、QWSのような場所での活動や繋がりが活きるのではないか、と仮説して自分を実験台として施設に来ています。自分から出会おうとしたら限界がある中で、QWSは人を繋いでくれる仕組みもある。渋谷をキーにしていることもあり、社内では確率的になかなか出会えない人に出会えることが、新結合を生み出す可能性がある。そして、見えるところにアートがある環境がアイディアの創発になっている。4カ月QWSで過ごして、このような活動に触れられたことを会社に報告しました。

4.具体的にどのようにQWSを活用していますか?

出口:僕は週3日QWSを利用すると会社に報告しています。オフィスと自宅のちょうど間のような場所として活用できました。会社に働きかけるときも新しくできた渋谷のQWSという施設で生まれたアイディアだからこそ可能性がある、と直感が先行してる部分はありますが、話はしやすかったです。

花松:僕はオフィスよりもQWSをベース基地として利用しています。

5.QWSでの印象的な出会いや体験を教えてください。

花松:ひとつは、ここで働くコミュニケーターの方々に協力してもらって、僕のワークショップの実験台になってもらいました。3回実施して、世に出せるレベルの120分のワークショップが完成しました。もうひとつは、もともとの目的だったDXの専門家が先週入会されて、繋がりができました。ぜひアカデミーのプログラムを一緒に作りたい。可能性の種ができたなと思っています。

出口:三次元の立体感のある面白い人がたくさんいるのも魅力ですよね。ビジネスに繋がる話だけではなく、発想がだいぶ自由な人でも見ている課題やソリューションのアイデアは実は凄くリアルで、解像度が上がる会話がたくさんできました。また、元々の知り合いとQWSで再会するという偶然もあり、かなり縦横無尽に色々な出会いがありました。

花松:一番インパクトがあったのは法螺貝アーティストの水野雄一さん。彼の活動に対する真摯さ、インティグリティを感じました。僕らがビジネスの中で、アートなるものを実装していこうとしたときに、体現しているのはああいう人なんだろうなと感激しましたね。

出口:アートでいうと、MAT(Media Ambition Tokyo )の設営準備の中で仕事をしたときは正直集中できないな~と思いました。でも、オフィスにいるのと同じ環境ではない中で思考する!という強制力が働いているというのは逆にいいなと思いますし、ビジネスしている人とは違うアーティストがアートを体現しようとする殺気を感じました。アーティストの横で作業するというのはお金を払ってもなかなかできないことなので、新しい刺激になりました。

6.『QWSコーポレートメンバー』は、どんな課題を持っている企業にオススメですか?

出口:僕は元々「組織開発」が仕事で、集団をひとつのヒトに捉えて、最大限のパフォーマンスを出せるにはどうすればいいのかと考えています。事業会社の目的は、決まったことを正しく早く伝えてサービス化することなのですが、それを修練していくと最適化された組織の中で新しいアイディアを生み出せる人って極めて少なくなっちゃうんです。採用した時はそういう人が居たはずなのに、だんだん少なくなる。なので、社内で人材を再発見するために、QWSは活用できると思います。会社でアートの話をしても心を開かないけどQWSだったら話しちゃうだろうし、可能性がある人たちをQWSへ連れてきてイベントに参加してもらって、気づきを感じてもらうなど、組織を温めなおす場として使えるのでないでしょうか。

7 .QWSに対して感じている可能性を教えてください

花松:ここで出会った人と、アカデミーまたは日立グループでゼロイチをやりたいと思っている人を混ぜたイベントを実施して、オンラインで発信したいです。実験的な、まったくやったことのない学びの場というのをテストとして開催したいと考えています。なので、今後も引き続きQWSの会員の皆さんやコミュニケーターのみなさんにワークショップの実験台になってほしいですね。

出口:ここが稼働していない箱になるのはもったいないので、四六時中イベントやってもいいと思っています。QWSの会員は、イベントに飛び入りして参加して触発されるとか、参加したら「生産性のあることを言ってください」と負荷をかけられても僕としては鍛えられるからアリだと思います。
以前参加して面白かったイベントは、メンバーとコモンズが面談するスクランブルミーティング。提案する側もアドバイスする側も意見するときに、ユーザー目線に立ち返れるいい機会だからもっと色んな人がきて意見を交換できるといいのになと思いました。
どの人もQWSに来て探しているのは、あえて自分から遠いもの。知らない知識に触れられる経験がいっぱいできると、「QWSすごいよね、毎日行った方がいいよね」という気分になる。僕も楽しみにしています。

花松甲貴さん
1989年に株式会社日立製作所に入社し、広告宣伝部門でセールスプロモーションの企画業務を担当ののち、同社人財部門、情報通信事業部門にて採用・教育業務に従事。2012年に株式会社日立総合経営研修所に出向、経営リーダー育成プログラムの開発とグローバル人財マネジメント統合プラットフォームの導入にかかわるプロジェクト業務を担当。2019年に株式会社日立アカデミーに再出向し、ビジネススキル関連の研修開発を担当しながら、渋谷キューズにて、DX(デジタルトランスフォーメーション)をけん引するリーダー育成プログラムの開発に着手するとともに、デジタル時代の学び方改革の実現に向けた人財交流・発掘、各種イベント開催を行っている。

出口善之さん
米国大学院にて応用心理学を学んだ後、2005年日立ハイテクノロジーズに入社し、人事部門配属。2008年日立製作所に転属し、情報通信事業部門にて、主に人財開発・組織開発、国際勤労に従事。2015年(株)日立総合経営研修所に出向し、日立Gr全体向けに「志」をコアにしたグローバルリーダー育成、経営リーダー育成プログラムの開発とデリバリーを行い、2019年11月から日立Gr全体を「学習する組織」へと変態させる為のカルチャーづくり・組織開発の為に渋谷QWSを知の探索、各種トライアルの場として活用している。

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