みんなでスタートアップを応援するピッチアワード「QWS STARTUP AWARD」応募者インタビュー 多様な人たちが交差・交流し、社会価値につながるアイデアや新規事業を生み出すことを目指した会員制共創施設「SHIBUYA QWS」が主催する、スタートアップが次の革新的な一歩を踏み出すピッチアワードです。
今回は、2025年3月に開催されたQWS STARTUP AWARD2025への応募がきっかけで初めての資金調達をした株式会社CORE 代表取締役 尾崎莉緒さんと、同社への出資を行った投資家、株式会社ANOBAKA キャピタリストの葛西 飛鳥さんを取材しました。
執筆:冨田阿里

尾崎莉緒さん
尾崎莉緒さん
新卒でスタートアップ企業に入社。人材営業を2年ほど経験し、人事にキャリアチェンジ。産休明けの女性上司の働きづらさを目の当たりにし、起業を志す。 株式会社COREを創業し、2023年5月から働く女性のためのコミュニティSNS「CORE」を運営する。

葛西 飛鳥さん
葛西 飛鳥さん
KLab株式会社でソーシャルゲームの運用を担当し、その後サイバーエージェントで新規案件の立ち上げやプロダクトマネージャーを経験。その後、独立しTipStockを共同創業。2C向けのビジネスナレッジサービスをローンチ。2020年3月よりANOBAKAに参画。 キャピタリストとしてソーシング、投資実行、投資先のハンズオンサポートに従事。
AWARD応募と出資の経緯
――尾崎さん、まずはQWS STARTUP AWARDに応募した経緯を教えてください。
尾崎さん:SNSでたまたまタイムラインに流れてきたのがきっかけでした。ピッチイベントを探していたわけではなかったのですが、「資金調達をしていなくてもいいのか?」「ビジネスモデルが固まっていなくても応募できるのか?」を確認して、当てはまる!と思って応募しました。当時はまだ一度も資金調達をしておらず、ピボットする可能性も視野に入れながら事業を模索していました。
――応募をしてから出資に至るまでは、どのような流れだったのでしょうか?
尾崎さん:審査員である葛西さんからご連絡をいただき、お会いすることになりました。 葛西さんとの初回の面談から1ヶ月ほどで、とてもスムーズでした。ただ、実は、最初は「自己資金でやっていこうかな」と思っていて、出資を受けるかどうかを悩んでいる時期でした。
葛西さん:実際にお会いして話す中で、尾崎さんが「外部ファイナンスするか、自己資金でコツコツやっていくか、まだ迷っている」と率直に伝えてくれました。そこで「今、出資をさせていただき、一緒に事業を伸ばしましょう!」と提案しました。ANOBAKAのファンドでは経営者評価を重視しているのですが、まさに尾崎さんはぴったりの起業家でした。
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――そのような経緯だったのですね!ちなみに、葛西さんは、年間どれくらいのスタートアップを見ているのですか?
葛西さん:毎月20〜30社、審査員などの仕事で一度に100社の書類を見ることもあるので、年間500社ほどですかね。投資に至るのは平均して四半期に1社程度、年間で4社前後です。 投資に至る確率は1%未満。COREに出資したのも、その中の1社でした。
――1%未満!すごい確率ですね。書類選考時のCOREの印象は?
葛西さん:実は、QWS STARTUP AWARDの相対的な審査ではCOREは書類選考を通過しませんでした。ただ、自分が注目している事業領域だったので「ぜひ会いたい」と直接連絡しました。
――投資家から見て、起業家の尾崎さんの魅力はどのようなところでしょうか?
葛西さん:尾崎さんには「愛される力」と「巻き込み力」がある。経営者にはいろんなタイプがいますが、尾崎さんはgiveの精神が強く、イベントを実施する際も周囲から自然と共感やサポートを得られる人。COREのサービスであるコミュニティとプラットフォームを育てる上で、この力はとても重要だと思いました。
尾崎さん:そんなふうにおっしゃっていただけて、とても嬉しいです。
実は、最初に葛西さんからご連絡をいただいた際、会うことを躊躇しました。理由は、男性投資家にこの事業を理解してもらえるのか不安だったからです。でも、書類審査でのフィードバックコメントを見て「事業の成長のためには、男性視点も必要だし、葛西さんであれば理解いただけるかも」と思い直しました。お話をしてみて、葛西さんはまさにその存在でした。
今後の展望
――QWS STARTUP AWARDに参加したことで得られた価値はありますか?
尾崎さん:書類選考が通過しなかったのに、結果的に出資につながったのは大きな価値でした。資金調達をするかどうか悩んでいた状態だったので、可能性を広げてもらえたと思います。
――COREの今後の成長による社会的インパクトについてお聞かせください。
葛西さん:「結婚や出産によってキャリアに悩む人達」にとって心理的安全性が高く相談ができる場所を作るのは大きな意義があります。これからの日本にとってCOREはなくてはならないサービスになると考えています。COREがこのまま広がれば、日本を代表するプラットフォームになることを期待しています。
尾崎さん:海外には女性向けのこうしたコミュニティがあるのに、日本には意外とないんです。ここからパワーを受け取る女性を増やしたいし、リーダー層の女性を増やしていきたい。国策で「女性管理職30%」と掲げられていますが、もっとクリティカルに響く施策を実現できるプラットフォームにしていきたいです。
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メッセージ
――最後に、シードスタートアップやこれから起業を考えている方へメッセージをお願いします。
葛西さん::スタートアップだからといって資金調達を必ずしなければならないわけではありません。QWS STARTUP AWARDは、事業をより進めたい人にとって可能性を広げてくれる場です。
尾崎さん:調達がスムーズに進んだ理由を考えると、投資決裁権を持っている方が審査員にいることが魅力だと思います。私のように調達するかどうか悩んでいる人でも、応募することで可能性を広げられるのではないでしょうか。。
──「みんなでスタートアップを応援する」を掲げるQWS STARTUP AWARDにとって冥利に尽きるお言葉を、ありがとうございます。
尾崎さん、葛西さん、本日はありがとうございました!
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