公立小学校で1000人の大人と出会うと子どもはどんなキャリアを描くのか?

プロジェクト名 IKO「板橋第十小学校の研究を面白くする会」
#教育
本プロジェクト「IKO」は板橋区立板橋第十小学校の教員が探究学習の実践をよりおもしろくするために作られた校内独立組織です。今年度は学校全体を巻き込みながら、総合的な学習の時間を中心に教科を横断した探究学習を各学年で計画しています。その中で1年間で1000人の大人と出会い、人生設計を聞くことで多様な選択肢を知り、大人との共同プロジェクトを形にしていくことを通して自己効力感を高め、1年間を通して子供が自分なりの人生設計を作っていきます。

何にチャレンジするのか?

・誰しもが通うことができる公立小学校で1000人の大人と子ども達が出会い、子ども達が多様な選択肢を知ることで未来に希望をもてる授業の実現

・未来にワクワクしている大人と子ども達が本気でプロジェクトを形にすることで、子ども達が自分達で形にしたい未来を形にできると実感できるカリキュラム作成・実施

・失敗しても立ち直り何度でも挑戦し続けられるように、多様な大人との経験を通して、いくつもの選択肢のある枝分かれした人生設計を作ることができるカリキュラム作成・実施

板橋区立板橋第十小学校:https://www.ita.ed.jp/swas/index.php?id=1310275

なぜチャレンジするのか?

日本の若者の多くが未来に希望をもてず、自分の力で社会を変えられるとも思っていません。戦争やゴシップなどマイナスな発信が溢れる世の中で、家と学校の往復が中心となる通学路中心の子ども達の日常で世界にいながら希望をもつことは容易なことではありません。だからこそ、子ども達が未来に希望をもつために、ワクワクした未来を今生きている大人に出会うことが必要なのです。一方で、お金をかければ様々な職業の人に出会い・体験することができるようになってきました。しかし、これは貧富の差を広げ、貧困の連鎖を止めることには繋がりません。だからこそ、公立小学校で多様な1000人の大人と1年間で出会うという新しい日常を形にすることに挑戦するのです。

どのようにチャレンジするのか?

1年間を通して、1000人の大人と出会う「3Mプロジェクト」という授業を小学4年生を対象に実施します。「3Mプロジェクト」とはmeet/make/mix(大人と出会う・大人と共に形にする・大人と子どもが混ざり合う)の頭を文字を取ったもので、それぞれの学期ごとの活動内容を表しています。1学期は「大人と出会う」をコンセプトに、大学生や起業家・アーティスト・議員など、多様な大人に人生設計をインタビューしたり、アーティストと共に作品を作ったり、ボードゲームを体感したり、その人の生き方に触れました。2学期は「大人と共に形にする」ということで、スクラッチを用いて低学年向けのゲームを開発したり、林業の紙芝居を作成して幼稚園や保育園に届けたりと大人と共にプロジェクトを形にしていきます。3学期は大人と子どもが混ざり合った結果として、人生設計を作成します。一本道の人生設計ではなく、いくつもの選択肢がある柔らかい人生設計を作ることを目的にします。

プロジェクトメンバー

小泉志信

板橋区立板橋第十小学校/教諭・一般社団法人まなびぱれっと/代表理事

小泉志信

板橋区立板橋第十小学校/教諭・一般社団法人まなびぱれっと/代表理事

公立小学校教員兼起業家。東京学芸大学教職大学院修了後、教員1年目時に起業した一般社団法人まなびぱれっとを運営しながら教員4年目として現場で奮闘中。教員1年目に寄り添う「はじめてのせんせい」プロジェクトやイベント等を通して、教員と教員以外の人が混ざり合う未来の実現に向け邁進中。

冨田和己

板橋区立板橋第十小学校/校長

冨田和己

板橋区立板橋第十小学校/校長

板橋区立板橋第十小学校の校長。教育理念は「学校と社会をつなぎ、子どもたちの未来を拓く」。学校現場と教育委員会を行ったり来たりしながら、世界平和を夢見て、日々を楽しんでいる。

柳原典子

板橋区立板橋第十小学校/主任教諭

柳原典子

板橋区立板橋第十小学校/主任教諭

東京都板橋区立板橋第十小学校主任教諭。デザイン思考で考え図や絵を使ってまとめることを得意とする。構造的な板書、ファシリテーション、ペアトーク、ホワイトボードミーティング等に興味をもち多種多様な研修会に参加し学ぶ。先生方と対話を重ね、カリキュラムをデザインすることに新たな面白さを見出す。

伊藤あゆ美

板橋区立板橋第十小学校/主任教諭

伊藤あゆ美

板橋区立板橋第十小学校/主任教諭

東京都板橋区立板橋第十小学校主任教諭。国語を専門教科として学び、積極的に研修へ参加。子どもたちの心に残る学校行事や経験作りのために、アイディアを出したり実行したりすることが好き。

水村大勇

板橋区立板橋第十小学校/主任教諭

水村大勇

板橋区立板橋第十小学校/主任教諭

教員9年目、板橋第十小学校に主任教諭として勤務。理科を専門とし、東京都の研修会にも参加。児童が主体的に学ぶための空間づくりや学びロードマップを活用した授業の展開に可能性を感じている。

大谷和哉

板橋区立板橋第十小学校/教諭

大谷和哉

板橋区立板橋第十小学校/教諭

東京都板橋区立板橋第十小学校教諭。校務分掌とは別に、このプロジェクトに参加している。学生時代から子ども向けの野外教育キャンプのブランティアを続け、様々な大人と出会うことは、子どもにとって選択肢や居場所を増やすものだと考え、行動している。本プロジェクトを通して子どもたちにどんな変化が起きるのか期待し参画している。

応援コメント

私自身、小学校1年生〜中学校3年生まで、1日の半分以上を、教科書を開かず探求学習をする学校の教育を受けていました。
その結果、自身で問いを立て、考え、動き、物事を動かしていく、ということを学ぶことが出来ましたし、その経験は社会人となった今のビジネスパーソンとしての人格にも良い影響を及ぼしていると感じています。
日本の詰め込み教育を前提とした義務教育では支援しきれない子供の自立的・自発的思考力を育む素晴らしい機会になると思うので、多くの学校に展開していく事例になることを願っています。
株式会社RUBILIA 代表取締役金井愛理

リーダーインタビュー

あなたの[問い]は、どのような未知の価値に繋がると考えますか?

公立小学校で1年間という限られた時間で、1000人という大人と出会うことで、小学生が多様な人生設計を作ることができるのか。多様な大人に会うことで、自分の人生に希望を持つことができるのか。
そもそも公立小学校に1000人もの大人が子供の成長に関わることは可能なのか。実現できた際には、他の公立小学校では再現可能なのか。

あなたの「問いの感性」は、どのような経験を通じて育まれましたか?

僕は公立小学校教員であると同時に起業家でもあります。世の中には人生を楽しみ、喜びをカタチにしている大人が多くいることを知っています。人は知らない世界の住人と出会うことで新しい可能性を知ることができます。子供たちは未知の大人に出会うとワクワクした顔をします。それは自分のこれから歩むかもしれない未来が自分の想像を超えるからです。
しかし、教員として出会ってきた子供は、失敗することや未知の挑戦をすることにどこか怖がる様子が多く見られ、子供たちなりに未来をイメージしようとすると、どこか現実的な夢ばかり語っている子が多いです。子供たちが日常生活で関わる大人は多くありません。保護者や先生、習い事の先生、店員さんなど数えるほどしかいません。世の中にある多様な生き方に触れることがない子供たちは数少ない選択肢から将来を選び、好きなものがなく、未来を選べないことで自分を卑下する子もいます。僕もそんな1人でした。人は知らない選択肢を自分から選ぶことはできないのです。だからこそ、僕は多くの大人と出会うことで、自分の可能性の幅の思い込みを壊してきました。人との出会いは可能性を大きく広げます。そして、子供の想像は大人の想像を簡単に飛び越えていきます。そんな可能性の塊である子供と1000人という途方もない大人と出会うことが実現できれば、子供は僕たちの想像もできない人生を作ってくれると思っているからです。

QWSステージでの発表

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