渋谷から世界へ問いかける
「SHIBUYA QWS」に、期待すること
今回、想いを語った3人
内藤 廣
林 千晶
野村 幸雄
大学連携事業協定の締結で「QWSプロジェクト」は大きく前進
野村 SHIBUYA QWS(以下、QWS)にとって、おふたりの存在はとても大きくて。林さんとは、最初のコンセプト設計の相談から始まり、内装プランなどハード計画に丸3年ほど携わっていただいています。1年前くらいから、ソフト面でもご一緒していただいていますね。
林 QWSに関わるのは、「運命だな」と思っているんです。 渋谷にオフィスを構えて来年で20年を迎えますが、「渋谷から世界に」「違いを力に」っていうのは、ロフトワークも信じてやまないんですね。渋谷って本来、世界に羽ばたく可能性を持った街だよねって。しかも完成されたものじゃなくて、それをつくっている。「問い」ながら可能性をつくり続けるというQWSが求めているものに共感しました。
野村 内藤さんとQWSの大きな関わりのひとつは、東京大学との連携事業協定締結の礎を作っていただいたことです。2017年5月、なかなか連携事業協定が進まなかったところに働きかけをしていただき、大きく前進しました。
内藤 大学にも身を置いていたので、大学や個別の研究が閉ざされていることを課題視していました。大学連携というのは、大学を開くことを意味します。大学側から開くことに意義があると思い、連携事業協定のために動きました。
野村 確かに、欧米では理工学部で哲学を学んだり、デザインやサイエンスをしている人が混ざり合っていますが、日本は学部学科で縦割りされています。大学は殻に閉じこもっているのではなく、社会に接していかないと新しい研究課題をインストールできないのではないかと感じています。
内藤 QWSは一方で、自分の価値そのものをもう一度見直すような場所になるべきではないでしょうか。自分に対する疑問、資本主義社会に対する疑問、その時々の日本の社会情勢も含めて問い直して、答えを探す場所。答えはなくてもいいから、問う場として存在できるといいですね。
林 そういう意味では、QWSの由来になっている「Question with Sensibility」は、まさに言い得ていますよね!
QWSが渋谷に誕生する理由
林 QWSでは 「出会う/磨く/放つ」をプログラムフレームにしています。出会ってチームをつくり、チームの中で磨かれて確実に「問い」が深まっていって。それが渋谷、東京、はたまた世界に放たれる。その矢の大きさや向きも自由で。これって、以前内藤さんが基調講演で話されていた「渋谷では矢印が右も左もいろんな向きに交差している。だけどどこかで出逢い、また離れていく」っていう渋谷像とまさに同じだなと思っています。
野村 そうですね。渋谷は周辺に大学があって若者が集まりやすい街です。若者が集まることが問題だとされた時代もありましたが、むしろ若者と大人が交じり合う渋谷だからこそ、QWSみたいな新しいことにチャレンジできるんだと思います。
林 ここに来ると若い人が何をしようとしているのかが分かるというのは、私たちの立場的にはいいですね。渋谷が、東京が、どうやって動いていくのか、QWSに定期的に来てみたいなという想いがあります。
内藤 QWSに集まる可能性を秘めた若者には、インターネットでは知り得ることができない情報にぜひとも触れてほしい。たとえば、講演者はどんな声で、どんなしゃべり方をするのかなど、熱量を目の当たりにするライブ感を受け止め、“何か”の発想につなげて欲しいと願っています。