「Webサービス」はどこまで人の「移動」を解き放てるか?
世の中には、身体的制約により自力での移動に難しさを抱えている人が数多くいます。彼らの移動を支えているのが、資格を持ったドライバーによる「福祉タクシー」等の移動支援サービスです。しかし、現状ではサービスの検索と予約が利用者にとって大きな負担となっています。そこで私たちは、移動支援サービスに特化した検索エンジンを開発しています。私たちは、福祉タクシーを起点として移動をより身近で手軽なものへと変え、「誰もが望む場所に辿り着ける社会」を目指しています。
- Keyword :
-
- #移動
- #mobility for all
- #感動体験
- #新しい生き方
- #つながり
- #お出かけ
- プロジェクト名:
- mairu -移動支援サービス検索エンジン-
- メンバー:
-
- 大村慧
- 柴田紗季
- 田上愛
- 稲葉慎太郎
- Keyword :
-
- #移動
- #mobility for all
- #感動体験
- #新しい生き方
- #つながり
- #お出かけ
何にチャレンジするのか?
福祉タクシーをはじめとした移動支援サービスの検索・予約をより簡単にすることを目指したプロジェクトです。現状では、数多くの支援サービスから必要なものを自力で選び、一件一件電話で予約をする必要があります。これは、利用する方にとって大きな負担となっています。私たちは、Webサービスの開発で、移動支援サービスをより簡単かつ円滑に利用できる形に変えていきます。最終的にはあらゆる人にとっての移動を、より身近に、より当たり前にし、その先にある感動や移動から生まれる新たな価値を社会に送り出すことに挑戦しています。

なぜチャレンジするのか?
学校や職場へ行く、大好きな友人と会う、休日に好きな場所へ出かける・・・。これら全てにおいて「移動」は欠かせないものです。私たちの生活の根幹とも言えるでしょう。しかし、身体的制約がある方にとって「移動」は当たり前にできるものではありません。彼らにとっての主な移動手段は「福祉タクシー・介護タクシー」と呼ばれるものですが、どの事業者を選べばよいかわからない、もしくは普通のタクシーに比べて予約に手間がかかるなど、利用における様々な課題が存在しています。このような課題を踏まえ、移動に可能性を感じている私たちは、事業者検索の面から移動支援サービスをさらに使いやすくするためmairuをつくることにしました。

どのようにチャレンジするのか?
3ヶ月間の活動目標は、①実証実験の実施と②Webサービスリリースに向けたマイルストーン策定の2点です。
1ヶ月目は、実証実験の実施に向けて協力者を集めます。具体的には、mairuに全面的に協力していただける自治体(区単位を想定)・福祉タクシー事業者の募集、福祉タクシーの主なユーザーとなる高齢者への実証実験告知(自治体経由を想定)などを行なっていきます。自治体の協力を得られなかった場合は、私たち自身で実証地域を選択し、その地域の福祉タクシー事業者に徹底的に呼びかけを行うことで準備を進めます。また、実証実験に向けたサービスのUIUX検討も進め、mairuを使った検索から実際の予約・利用までがスムーズに行われるような流れを確定させます。
2ヶ月目は実証実験を行い、できる限り現地に足を運びながら、30人以上の移動実現を目指します。その際に福祉タクシーユーザーに移動前後の感想を、タクシー事業者に運行状況の変化を伺い、「Webサービスでmairuを届けることが、顧客のニーズに最もフィットしているのではないか?」「mairuを使うことで福祉タクシー事業者にも経済的メリットを届けられるのではないか?」という2つの仮説に答える。また、定性的・定量的にサービスにさらに求められる要素を洗い出す。その結果を元に、細かなmairuの仕様を決定する。
3ヶ月目には、確定した仕様をもとに、実際の検索エンジンの開発、デザインに取り掛かる。多くの福祉タクシー事業者に協力していただく方法やデータの取得方法、開発体制や資金計画などを策定し、実際の自治体へのアプローチなどの行動へ乗り出す。QWSステージではmairuのプロトタイプを発表することを目指す。
プロジェクトメンバー
応援コメント
リーダーインタビュー
あなたの[問い]は、どのような未知の価値に繋がると考えますか?
私たちが目指すのは、「誰もが望む場所に辿り着ける社会」です。
「移動」は様々な側面で人の生活を支えています。実際にその場に足を運び、実際に人と会うからこそ生まれる感情があると私たちは考えています。
ハンディキャップを抱えている方々が、健常者と同じように交通手段を選択して移動できるようになれば、この移動の価値は多くの人に広がり、彼らの人生をより豊かにすることに繋がるはずです。
さらに、移動の自由はその先の価値をも作り出すと考えています。今様々なハンディキャップを抱え、自由に移動できていない人々には、秘められた思いや、眠っている能力があります。彼らの移動がもっと当たり前になり、移動したいと願った時に自由に移動できるようになれば、その想いや力はあらゆる場所で発揮されるようになり、新たな価値が至る所で作り出されるようになります。彼らはその価値で、新たな幸せや喜びを社会に生んでいくはずです。その先に待っているのは、誰もが躍動する、喜びに溢れた強い世界だと、私たちは信じています。
あなたの「問いの感性」は、どのような経験を通じて育まれましたか?
私はこれまで、「移動」を通じて多くのことを学び取り、成長してきました。
小学三年時にはアメリカ合衆国へ渡り、シリコンバレーやNASAの研究施設を訪問する機会がありました。シリコンバレーの存在も、NASAという機関の詳細も知らなかった当時の私にとって、独特の活気あふれた街の雰囲気や、楽しげに自分の研究を語る研究者、そしてそれが私たちの生活へと落とし込まれていく最前線となる未来的なオフィスを見ることは、とても刺激的な経験でした。ここから、私は「技術はどこまで人の生活に貢献できるか」を追求したいと思うようになり、また生き方の中にスタートアップという選択肢を加えることができました。まさに私の人生を変えた、貴重な経験でした。
3年前、新型コロナウイルスが拡大し、外出することができなくなったとき、私たちは移動の価値を再認識させられました。人と直接会ってコミュニケーションする価値、実際に行きたい場所に赴き、その空気を全身で感じる価値。移動できなくなってから、これらを強く実感させられました。ただ同時に、その制限が無くなった時に私の頭の中に思い浮かんだのは、パンデミック以前も今もなお、移動することが当たり前でない人たちが存在するという現実でした。
移動の価値を正の面からも負の面からも感じた経験があるからこそ、私たちは移動の可能性をあらゆる人へと届け、広げてゆきたい、そう考えています。
国際オリンピック委員会 アスリート委員/国際フェンシング連盟 理事
太田 雄貴